「長命種なんだから」この言葉が僕は嫌いだった。いくら寿命が長かろうが僕たちの時間は有限だ。はるか昔のご先祖様のように長く生きられるわけではないし老いもする。まだ体が動くうちに無茶をしておきたいなんて気持ちは短命種と同じだろう。
それなのにヘルタの同僚たちは長命種なのにそんなセカセカして。とか長命種なのに生き急ぎすぎだなどと苦言を呈す。その度にその倍の文句を返してきた。
ただ。今回ばかりは自分でも生き急ぎすぎたかもしれない。量子ストームに巻き込まれ見知らぬ星に堕ちた今、やっとそう思った。
「ここは……?」
ストームの中で咄嗟に飛び込んだ避難カプセルから這い出る。急いで腕に巻きつけた端末で現在地を検索するも携帯端末ではざっくりとしかわからず、元いた航路からかなり離れた場所であるとしか示さない。
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