恋は瞬き一寸の闇蛍との共闘戦闘楽し過ぎて周り見えなくなってヘマしたタルが蛍の目に傷付くってしばらく使えない状態にし、蛍の目として生きる話。
「ごめんなさい」
「聞こえない」
「ごめんッ、なさいッ」
邸宅の一番奥の部屋。その部屋は、家主の許可なく立ち入る事は許されていない蛍の自室である。そこから先刻よりずっと若い男の謝罪が響き渡っていて、ホールでお茶をしているフィッシュルとモナは戦々恐々と其方に視線を向けていた。
「聞こえないッ」
「ごーめーんーなーさーいッ」
「真面目に謝って」
「……さっきから……謝ってんじゃん!」
「逆ギレ? タルタリヤが、悪いのに?」
「だからァ……ッ……ごめん……」
「……」
床に正座するタルタリヤ。それを睨めつけているはずの大きな琥珀の瞳は、今は白い包帯に覆われていた。まだ浅く巻かれたままの布には、薄らと赤黒い血が滲んでいて、それを見たタルタリヤは僅かに眉を寄せると視線を外した。自分がつけた傷が原因だと分かっているからこそ、居心地が悪いのである。
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