恋は瞬き一寸の闇蛍との共闘戦闘楽し過ぎて周り見えなくなってヘマしたタルが蛍の目に傷付くってしばらく使えない状態にし、蛍の目として生きる話。
「ごめんなさい」
「聞こえない」
「ごめんッ、なさいッ」
邸宅の一番奥の部屋。その部屋は、家主の許可なく立ち入る事は許されていない蛍の自室である。そこから先刻よりずっと若い男の謝罪が響き渡っていて、ホールでお茶をしているフィッシュルとモナは戦々恐々と其方に視線を向けていた。
「聞こえないッ」
「ごーめーんーなーさーいッ」
「真面目に謝って」
「……さっきから……謝ってんじゃん!」
「逆ギレ? タルタリヤが、悪いのに?」
「だからァ……ッ……ごめん……」
「……」
床に正座するタルタリヤ。それを睨めつけているはずの大きな琥珀の瞳は、今は白い包帯に覆われていた。まだ浅く巻かれたままの布には、薄らと赤黒い血が滲んでいて、それを見たタルタリヤは僅かに眉を寄せると視線を外した。自分がつけた傷が原因だと分かっているからこそ、居心地が悪いのである。
手合わせの最中、一撃に手応えがあったその瞬間は、血が煮え滾るような興奮と強者の命に手が届いた征服感に酔いしれる事が出来たのだ。それも数十分前の話。蛍が目元を押さえて蹲った。「おいおい、まさか今の一撃で終わりなんて、つまんない事言うなよッ」と、追撃を入れようとした時だった。蛍が僅かに顔を上げたから見えた。押さえた手は完全に両の目を塞ぎ、その指の隙間からは見慣れた赤が溢れてきた。剣を落とした小さな手がうろうろと空を彷徨って、「た、たるたり、ぁ」と小さく呟く声からこの手は自分を求めているのだと気がついた。タルタリヤは、大人しく膝をつき、その手を引き寄せた。
「見え、ないの。あと、いた、ぃたい」
対峙した相手が自身の一撃で負った傷で弱っていく様をみるのは痛快。狼狽え後退る足の数だけ、此方に必勝の一手が握られているのだから当然だ。それなのに何故膝をついてと、タルタリヤは握った蛍の手を離せずに自問する。手合わせとて、気を抜かず戦場と同じように駆け抜けなければ意味が無い。
だから、この失態は蛍が招いたと言っても過言ではないはず。
この時、タルタリヤは初めて戦場で「ごめん」という言葉を口にした。
そして、カツンッというヒールが床を擦る音で、その意識は現実へと引き戻される。
「今視線外したでしょ」
「なんで分かるんだ……」
「分かるよ。タルタリヤは、自分に非があるって自覚してる時、視線外す」
「そうなんだ……? 初知り……」
呆然とした様子の戦犯の唇からそんな間抜けな息が漏れる。目を覆いあらゆる情報から遮断されたとて、自身の相棒の鋭さは変わらないようだった。その事実が喜ばしくもあり、ただその事実に辿り着いた事の発端は自分の初歩的なミスであるということもまた、事実であった。
どこか行く時は必ずついてって目となり足となり手となり、食事は食べさせなきゃだし、お風呂は1人で入るって言うから安心してたら浴室から凄い音して転んでるの発見して結局感情無にして蛍をお風呂にも入れてあげる……最初は段差とかも事前に言えなくて、蛍めっちゃ躓かせてその度に抱きとめるみたいなハラハラな感じなんですけど、しばらく経ったらスムーズに報告できるようになりちょっと身体支えてあげれるようになって…街ゆく人に微笑ましく見られるという…平和タほを…朝も最初寝惚けてベッドから落ちたから、夜寝るのも一緒…朝起きるのも一緒…着替えさせてもあげる…
もう見えるようになって「負担にさせちゃったね。こんなにお世話になる予定じゃなかった。ありがと」て言われて「いや俺が悪かっ……たから」て普通の生活に戻るんですけど、物音聞こえたらガタッて立ち上がって傍に蛍いないのに「蛍!?」てなるし、蛍と会ったら会ったでいつもみたいに手繋いで歩こうとするしで、末期過保護世話焼きになったタル……
「……ごめん。あのさ、しばらく俺のとこ居てもらっていい……?もう君が傍にいないと落ち着かないんだ……どっかで転んでるかもしれないとか、どっかで泣いてるかもしれないって思うと気が気じゃなくて……」
「もう転ばないし……泣かない……」
「分かんないだろ!?」
「分かるよ……自分のことだし……」
なラブコメ……
いつもお風呂入ってた時間になるとお風呂連れてこうとして抱き上げます…それで「……なに…?」て言う蛍に「え?お風呂の時間……」て平然と返して蛍顔真っ赤(もう全部見られてるのに)「1人でッ、入れるッ」です…
蛍の服に普通に手かけるから蛍焦って「や、やだってば!」て抵抗するもタルはもう見慣れてるしお風呂入れるだけだしで……
上がったあと(入ってる途中でもいいです)にタルも何か正気戻ってきて、「ご、め……ごめん……ほんとに、ごめん……違うんだ……ごめん……」とか謝りだす。
見て〜〜〜ッ
「蛍。そこ、段差」
「ありがと」
「旦那ァ、最近板についてきたんじゃないか?最初の頃なんて嫁さんの事躓かせてばかりで、こっちがヒヤヒヤしてたよッ」
「……余計なお世話ァ……」
「乙女の肌に傷つけるとか信じられません。習いませんでした?女の子は、晶蝶よりもセシリアの花よりも優しく扱うものだって」
「……俺のとこでは、カミツレだった」
「なら、そう扱ってください!」