ポメガバースカルジナ◆基本設定
ポメガとマスター
ポメガの人間は、疲労が蓄積したり落ち込んだりして体調不良になると、体がポメラニアン化する。
ポメ化した身体は、誰かに撫でられたり抱きしめられたりして心が満たされると、人間の姿に戻る。
発情期があり、マスターに褒められ可愛がられる幸せなSEXをするとポメガはトロトロになる。
発情期の巣作りでやることはオメガバース同様、マスターの洋服等で巣を作ること。
運命のポメガとマスター同士が出会うと、お互いに惹かれあい一生幸せに暮らせる。
🌸以下付け加えたオリジナル要素
運命同士は抗い難い花の香りがするが、それ以外の人には一切分からない。(犬の敏感な嗅覚要素を入れました)
うなじを嚙み運命の番になると、他の人にもそれぞれ落ち着く香りがほのかに感じとれるようになる。意識して消すことも可能。
ジナコは花系の香り、カルナはウッディ系の香り。
◆登場人物
カルナ・・・・・・インドの大英雄にしてジナコのマスター。ジナコの運命だが、ジナコの意思を受け入れ見た目何にも変わらなかった。その所為でひと悶着ある。
ジナコ・・・・・・見た目動物要素が入っているサーヴァントがもれなくポメガ要素込みで召喚されるカルデアの唯一にして一番悲惨な被害者。切実に元の世界に帰りたい。
◆カルデア設定
ジナコが召喚されたカルデアには厄介な特徴がありました。見た目分かりやすい動物要素の入っているサーヴァントは全員ポメガ因子を持って召喚されてしまう致命的な霊基異常があるのです。幸いポメガ因子は疲労した際変身する以外は発動しなかったので、ひとしきり調査したうえでお手上げだったカルデア職員達はポメラニアンに変身するだけだし、と楽観視していました。
ある日召喚されたガネーシャ神の依代の女性にポメガ因子があり、それだけでは飽き足らずついに発情期まで発動してしまうまでは。彼女を巡りインド界隈でひと悶着起こってしまうのでした。
ポメガ因子持ちで召喚されるサーヴァント一覧
※運命がいないので発情期無し、大体周回などで疲れたらポメ化して仲間に遊んでもらって勝手に戻っていた。
あくまで分かりやすい動物要素持ちに限る。
アステリオス、紅閻魔、メドゥーサ、バーゲスト、アタランテ、ケイローン
玉藻の前、タマモキャット、ミスクレーン、清姫、ドンキホーテ
ジャガーマン、赤兎馬、大黒天、光コヤンスカヤ、闇コヤンスカヤ、ヘシアンロボ
☘流れ
このカルデアのジナコはカルナとあまり親しい間柄ではない。
何故かというとジナコがカルナを避けているから。さりげなく接点を最小限にして不必要に近寄らないようにしている。
ジナコのカルナセンサーは百発百中でカルナの居場所を見極め、近付いてくる気配がすると話を切り上げ自室に戻るのだ。
ジナコがカルナを避けているのは明白だが、しかし直接顔を合わせる機会を少なくしようとしているだけで必要な際は逃げずに何事も無いように顔を合わせ話すので、知らない何かがあるのだろうと周囲は静観していた。
ジナコとカルナは、LB4で互いに惹かれあっていたが微塵もそんなそぶりを見せる事無く別れていた。LB4の時点では抑止力としての現地召喚だった為普通のサーヴァントだったジナコ。しかしインド異聞帯の最期を見届け元の世界に帰った後何故か一晩で今度はノウムカルデアに召喚されたジナコは、前回とは明らかに違う何かに気付き内心困惑した。
どこかから抗いがたい花の香りがする。それは召喚後すぐマスターが呼んでくれたカルナから発せられていたが、警戒心の強いジナコは全力で気付かない振りを貫いた。そしてメディカルルームの検査結果にて、自分が「ポメガ」という聞いたことの無い霊基異常に苛まれていると知った。
「象の頭を乗せられたという逸話が関与しているみたいだね」と、ダヴィンチは説明と共にため息をついた。
カルナから抗い難い花の香りが四六時中襲い掛かってくる。それはどうしようもなくカルナが運命であると告げていたが、ジナコは決して認めなかった。
ジナコは、元の世界でカルナのマスターであり月の裏側から生還した唯一の生き残りであり、それはカルナの約束された死を意味していた。カルナの宝具と命を授かり助けられたジナコにとって、これ以上ひとかけらもカルナから授けられるわけにはいかなかった。その中には過分な情も含まれていた。
ボクには荷が重い
自分なりに神のパワーを使い情報を集めた後に出した結論であった。
ジナコは運命がこの場にいる以上、決してポメ化するわけにはいかない。ストレスや疲労でポメ化するらしいので、神のパワーで色々出してよく食べよく遊びよく寝て、自堕落な生活を送ることで疲労を蓄積しないようにしていた。哀れに思ったガネーシャさんも少し権能を使ってくれて、運命がいるとは思えない健やかな生活を送っていた。マスターとの絆とレベルも上がり、BBにメンテされて身体は絶好調だった。
しかし疲労は蓄積されなくてもストレスは確実に蝕んでおり、それは最悪な形で露呈した。
ある日から、ジナコが自室に障害の権能で鍵をかけて引きこもった。
ガネーシャ神の障害の権能はラクシュミーとの共同戦線とはいえあの神たるアルジュナを欺ききるほど強力で、ノウムカルデアからの通信手段は一切届かない。
唯一、引きこもり始めたその日にジナコ側から連絡があり、明るい声で
「ガネーシャさん側のメンテもあるみたいで今忙しいみたいッス。ボクの時みたいにピコッとはいかないぽいけど、ボクは神のパワーでご飯もお菓子もあるんで気にしないでほしいッス。終わったらこちらから連絡するからそれまでメンテ休暇もらうッスよー」
と言われ、実際中の様子は伺えないので信じて待つことになった。
唯一、カルナを除いて。
ここでカルナ視点へ。
カルナはもちろん召喚された瞬間からジナコが運命だと気付いていた。しかしカルナ自身、LB4の記録は見て感銘を受けたものの何故こんなにガネーシャ神の依代の女性に異性として惹かれるか理解しておらず、抗い難い香りはするが鋼の自制心で耐えきっていた。ガネーシャ神側も公にはしたくないようなのでさもありなんと受け入れていた。
そんな日が続いたある日、BBからの依頼によりガネーシャ神のメンテナンスに協力した。そして確実に記憶を全て取り戻した。
彼女はジナコ=カリギリであり、俺に得難い金言を授けてくれた唯一無二のマスターであり、インド異聞帯で心底惚れた女だった。
そうだったのか、そうだったのか。とカルナは何度も反復した。それならば抗う必要性を感じない。運命というのであれば彼女を貰い受けても何の支障も無い。
そう決意した次の日にジナコは権能を使ってまで引きこもった。
カルナはマスターに言った。
「ガネーシャ神はオレの運命だ。迎えに行く許しをもらいたい」
全く予想もしなかった衝撃発言にどよめく管制室。そこで初めて、ポメガとマスターの身にだけ認識される数々を教えられて絶句する面々。
ポメガとマスターの二人だけが認識している抗い難い花の香り、恐らくガネーシャ神は発情期であり、きっかけは運命であるカルナが認識出来る範囲におり自覚している事。
「ガネーシャ神はお前達も知る通り意外と強情な面がある。万が一の為に、落ち着くまでの間オレ達の移住区に誰も出入りしないよう指示を出してもらいたい」
それに反応したのがアルジュナだった。
「何を勝手な事を言っている!ガネーシャ神一人の為に」
そう言いかけたアルジュナはしかし言い淀んだ。
「では、今のガネーシャ神の姿をオレ以外の奴らに見せろと?」
静かな声には今まで感じたことがない類の怒りを伴っていた。炎にも似た魔力が立ち上り、管制室を一気に占拠する。立香が一瞬右手を強く握り、そして緩めた。
「カルナに任せても良いんだね?」
「ああ、オレにしか出来ない」
「分かった。ガネーシャさんの事お願いね」
「礼を言う」
「カルナ」
「なんだ」
「あまり無茶をさせるなよ」
「聞くまでもない」
そして場面はジナコ視点に戻る。
体が熱い、全てが心臓になったような錯覚とほんの少しの刺激ですら軽く達してしまう程の未知なる快感の渦に苛まれていた。
(最悪、最悪最悪最悪最悪!!)
この場にはジナコしかいない。誰にも見られたくないだろうというガネーシャ神の優しさによりムシカの顕現を解き自身も権能だけ行使する形で一時的に眠りについてくれていた。
ジナコ自身もアラサーだ、一人でだが経験はある。しかし想像を軽く絶する暴力的な程の快感に微動だにせず耐え忍ぶしかなかった。決して自我を放棄するわけにはいかない。瞼の裏にはいつだってかの人の姿が映るけど、本能と欲望に気付かない振りを貫いてひたすら耐えていた。
耐えて耐えて耐え抜いて、やがて時間の経過すら分からなくなり潤む視界の向こうで思い人の名を無意識に呟いた。
「・・・・・・カルナ」
「呼んだか」
聞こえるはずのないテノールに一気に意識が覚醒した。過ぎた快感に狂いそうになりながらもシーツから顔を出して室内を見渡した。どこにもカルナはいない。ガネーシャさんの権能も変わらず発動し続けている。恐ろしいことに、権能の向こう側から思わず駆け出してしまいそうな程強い、且つ淫靡な花の香りが染みだしていた。
障害の権能の、さらに締め切ったドアの向こうから明瞭に聞こえるカルナの声とむせ返る香りに心底絶望したジナコは、なけなしの理性をかき集めて何でもない振りを貫こうと話しかけた。
「管制室にはちゃーんと伝えたはずッスけど?ガネーシャさんは今手が離せないから休暇中でーす!散った散った!!」
どうか騙されてほしい。それが無理でもせめて空気を読んで捨て置いてほしい。しかしカルナは一つ決めたら決して違えないとよく知っていた。
「ガネーシャ神、開けてくれ」
死刑宣告にも似た要望に、だがジナコは抗う。
「もーなぁに?ガネーシャさんは今本当に動けないんスけど?」
「開けろ、ジナコ」
ドクンと体全体が破裂したかと見紛うほどの衝撃がジナコを襲った。
(今なんて言った?)
「既にオレ達以外はこの移住区から全員撤去している。オレだけだ、ジナコ、ここにはオレしかいない」
「だからそれがなんだって、っていうか、なんで、なんでっ」
ぐわんぐわんと脳が揺さぶられ吐き気にも似た不快感から両目を強く塞いで耐える。いい加減にしてほしい。お願いだからボクの事は捨て置いてほしい。
「気には食わんが、BBのメンテナンスには確かに効果があった。なあ、ジナコ=カリギリ」
「ひぃっ」
「お前も理解していると思っていたが、違うか?」
「知らない、知らないっ!!」
「オレとお前は運命だ」
「知らないって言ってるでしょっ!?絶対入ってこないで!!」
「ああ、そういえば今はお前のサーヴァントではないと理解しているか?」
「カルナさん、ダメ」
「つまり、お前の命令を聞く義務はないということだ」
「カルナっ!!!」
「開けろ、ジナコ=カリギリ。でないと手段が少々手荒になるぞ」
一気に膨れ上がる魔力までもが淫靡な香りを伴いジナコを襲う。口内を奥歯で強く噛み切り痛みと鉄錆の匂いに集中しながら、それでも溢れる涙を拭う余裕も無くチリチリと焼かれるままに扉を見据えた。
「・・・・・・・・・・・・カルナ、お願いだから入ってこないで」
「何故そこまで否定する」
「運命だから」
「理解が出来んな」
「絶対ダメ」
「壊すぞ」
「ダメ!!」
「だって、そんな強制的な運命なんてアタシはいらない!!!何でもかんでも施そうとしないでよ!!!」
「・・・・・・度し難いな」
「・・・・・・」
「因果が逆だ、逆なんだよジナコ=カリギリ」
「え・・・・・・あ、ああ!!!」
権能が、扉ごと槍で吹き飛ばされる。
パキンと音を立て砕け散ったその向こうから、意識を失いそうな程の香りを纏う運命がゆっくりジナコに近づいた。
シーツに包まりながら涙を流し、呆然と見上げる運命にカルナは微笑んだ。
「こんなもの、お前を手に入れる為の都合の良い言い訳にしか過ぎん」
「へ?」
シーツごと強く抱きしめられたかと思うとうなじに嚙みつかれ、雷が駆け抜けるほどの強い衝撃に意識を飛ばした。
「サイテー、分かってるのにわざわざドアぶち破るとか、デリカシーの欠片も無い。本当にサイテー」
一週間後、マスターのマイルームでジナコは真っ赤な頬を隠さずロールケーキを切り分けていた。自身にも分かるほのかな花の香りに立香は微笑む。
ガネーシャ神の首を纏う装飾品の内側、うなじにはカルナの歯形が残っており、既に二人が運命の番になったとノウムカルデアにいる誰もが知っている。数日後無事メディカルルームに顔を出したカルナとジナコは、アスクレピオスにそれこそ根掘り葉掘り詳細を聞かれてデータを取られ、羞恥心と徒労感で精神的に息絶えそうになっていた。
「まあまあ、カルナさんも必死だったんだよ」
「今思うと?そうかも知れないッスけど?それにしたってアレは無い」
「あはは」
運命にサイテーの烙印を押されているカルナはといえば、ただいまシミュレーションルームでインド女性メンバーが主体となりお仕置きタイムが決行されている。まさかの了承を得る前にうなじを噛んだと気付いたパールヴァティーが大激怒、ジナコと仲の良いメンバーとインドのサーヴァントを招集してカルナを娘の敵とばかりにぶちのめしていた。カルナも甘んじて受けているので、そろそろ体力ゲージ切れでシミュレーションルームからはじき出される頃合いだろう。
「もー、何なんスかね。規格外すぎて訳分かんないッス」
霊基異常の関係で念の為BBにより追加メンテされて、ジナコの名前は認識出来ないものの依代の女性でカルナの元マスターだと理解出来るようになった立香は、秘蔵のクッキーを差し出してこっそり囁いた。
「でもさ、ガネーシャさんだってカルナさんの事好きだったんでしょ?」
う、とのけ反ったジナコはコホンと咳払いをして目を閉じた。
「まっ、まーね、そこは認めるしかないというか、ぐむむ」
はー、もう一生離れられる気がしないッス。そう言ってクッキーに手が伸びるジナコに離れる気なんて無い癖にねー、と思いながら立香もクッキーに手を伸ばした。
end