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    ゆきお

    @itmmtiry23

    CP絵や、クセが強いもの、流血絵などはこちらにのせます。高頻度でktkr兄弟近親ものが投稿されます、ご注意ください。

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    POIPOI 23

    ゆきお

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    【ktkr兄弟 短文】
    現パロ。まだできてない二人です。 

    近親もの、自己解釈、キャラ変を含みます。
    少しでも抵抗がある方は閲覧をお控えください。

    こちらは去年の暮れあたりからぼちぼち書いてました。文を書くのは好きですが、見せれるものかどうかは別問題で…でもせっかく書いたのでポイにこっそり載せていこうと思いました。

    優しい弟 何日か前から表玄関の蛍光灯が切れかかっていることが気になっていた。ぱつ…ぱつ…と音を立てて弱々しい明かりを灯すそれはもはや風前の灯火だった。
    内玄関ならまだしも檀家さんが訪れたときにお通しする表玄関では、そのままというわけにはいかない。文句を言う人間が現れる前にさっさと片付けてしまおうと脚立を引っ張り出してやり始めたのが運の尽き。
     私は脚立から落ちた。
    蛍光灯の電球自体は無事に取り替えられたのだが、作業を終えてほっと一息ついた瞬間に足を踏み外してそのまま脚立ごとひっくり返ってしまった。けたたましい音を聞きつけた弟が二階から駆け下りてくる。また私が何かやらかしたのだと決めつけているので顔が怖い。
    「何を…やっているんだ?」
    床に倒れ込んだ私を見下ろし開口一番がそれだった。
    「見ての通りひっくり返ってしまった、足を踏み外して…」
    「そんな低い脚立でか?」
    「…バランスを崩してしまってな」
    「どこを打った?」
    弟はひざまずき、投げ出された私の脚に作務衣の上から触れる。膝からふくらはぎ、足首まで。力加減の狂った整体師のようにぐいぐい揉む。痛い。
    「右足が少し変な方向に曲がっただけだ…頭は打っていない」
    ああでも肘も少し打ったかな…とこぼすと、今度は肘を取られ、わしわし関節部を揉まれる。骨折を確認するならもう少し穏やかに触ってほしいものだ。本人は大して力を与えていないつもりらしいが。
    「憲伸…大丈夫だから離してくれ」
    そう訴えると、憲伸は細い眉を顰めて短くため息を付いた。
    「俺じゃわからん、病院行くぞ」
    「え…今からか?」
    「つべこべ言うな」
    そう言うやいなや、ぶつけていない方の腕をがしっと掴まれた。自分の身体が驚くほど軽々と持ち上げられて、立ち上がる準備をしていなかった私は憲伸に寄りかかってしまった。掴まれた腕を離してはもらえず、そのまま連れて行かれそうになったので慌てて制止する。
    「待て、湿布か何か貼っておけばい、」
    「いいわけないだろ、早く準備しろっ」
    低い声で怒鳴られて私は思わず身を震わせた。
    おお怖い。何故怪我をした身で怒声を浴びなければならないのか、と思わなくもなかったが、この怒れる弟に反抗するのも面倒くさいので、何とか腕を解放してもらいそそくさと身支度をはじめる。
    幸いなことに徒歩で行ける距離に整形外科医院がある。憲伸はわざわざ車を出してくれたので、これにも何も言わず大人しく従うことにした。
    私とともに倒れた高さ六十センチほどの哀れな脚立は弟の手によって納戸に放り込まれた。

     病院に着き、受付をするべく財布の中をたしかめた私は戦慄した。
    「んんっ…」
    「どうした」
    「保険証を忘れた」
    「は?何故、家を出るときに気が付かないんだ?」
    やはり怒られた。うっかりしていた私も悪いのだが頭ごなしにも程がある。少しばかり反論してもよかろうと思い口を開く。
    「私も気が動転してたんだ。お前はお前でせわしなく急かしてきて着替えをする暇も与えてくれなかっただろう」
    「…とにかく先に受付してろ。一旦帰る!」
    弟は激怒し、止める間もなく走って保険証をとりに帰ってしまった。(車で来たというのに)
    近所の病院なので彼の足ならば十分もたたずに戻ってくるだろうが、こちらは作務衣のままだし他の患者たちが物珍しそうな視線を送ってくるので何となく居心地が悪い。
    とりあえず受付の者に事情を話すと、その中年の女性は快く待たせてくれた。番号が書かれた札を手に、誰も座っていない入口付近の長椅子にやれやれと腰を下ろす。
    歩くと足首に痛みが走ることに漸く気付いた私は、弟の言う通りにして正解だったなと思った。脚立から落ちてここに来るまでが迅速すぎて、今頃になってやっと己の感覚が追いついてきたという感じだ。
    『いちいち反応が遅い』と、いつだったか憲伸に嫌味を言われたが私からするとあれが速すぎるのであって、私は落ち着いているだけだと思うのだが。
    問診票に住所氏名などを記入していると、自動ドアが開いて弟が戻ってきた。走ってきたわりには息のみだれもなく、すぐに私を見つけてジロリと視線を送ってくる。
    この医院の建物はそこそこ年季が入っているので、古びた自動ドアは開閉するたびにヴヴンと面妖な音を立てるのだが、今は弟の威圧感に怯えているかのように思えた。
    「受付は済ませたか」
    「ああ、本当にすまんな」
    憲伸は保険証を受付に渡すと、私の隣に座って小声で話しかけてきた。
    「どういうふうに転んだんだ?」
    「脚立を降りようとしたら踏み外して、そのまま倒れた。上手く着地できなくて、肘を床についてしまったんだ」
    「鈍臭いな…何故そうなる」
    「…これ以上何か言われるのはもうかなわん。少し優しくしてくれ」
    冗談めいた言葉を返すと、憲伸は眉を潜めたまま何も言わなくなった。

     診察とレントゲン検査は滞りなく終わり、軽い足首の捻挫と、肘は打ち身、という診断を受けた。どちらも安静にしていれば自然に良くなるとのことで、湿布薬などを貰い帰路についた。帰りの車内で詳しい診断結果を弟に伝えると「軽く済んで良かったな」と無表情に一言だけ感想を述べた。
    「悪かったな、休みの日にこんな面倒をかけて…」
    「大事にならなかったのならいい、法要は入ってないんだな?」
    「今日明日は特に。葬儀が入れば話は変わるが…憲伸はいつまで休みなんだ?」
    「明後日までだ、何かあればさっさと言え」
    「ああ、ありがとう」
    久しぶりに弟の運転する車に乗ったが、たいそう安全運転だ。車内も購入してから三年は経つというのに新車なのかと思うほどきれいにされている。ぬいぐるみやマスコットの類いは置かれておらず…何となく安心する。
     憲伸はたまたま平日休みをとっていた。
    今朝いつも通り五時に起きて朝清掃にとりかかろうとしていた私に、仕事着のスーツではなく作務衣に着替えた憲伸が「何か手伝うことあるか」と言ってきた。
    「お前、仕事はどうしたんだ?」と疑問に思って尋ねると「有給消化だ」と面白くなさそうに答えた。
    何でも年次有給休暇を消化していなかったことを上司の島田さんという上司に指摘されたらしく、理由は何でも良いから来月までに消化してくれと言われたらしい。(この島田さんという人は普段から何かと憲伸のことを気にかけてくれている印象だ。)
    「…休みなら私に合わせて起きなくてもいいよ。まだ寝てなさい」
    そう言ったが、弟は一度起きたら二度寝できんと言い張り本堂や庭の掃除を手伝ってくれた。そのあとの朝のお勤めの間も、経を唱える私の後ろにじっと座っていたし、久しぶりにそろって朝食をとった。あとはもういいから休んでなさい、と言うと心なしかつまらなそうな顔をしたので、その反応が面白くて少し笑ってしまった。
    私が玄関先でひっくり返る前までは本当に平和な時間が流れていた。

    「今日はよく晴れたな。連休なんて久しぶりだろう、本当に何も予定はないのか?」
    いつもより日差しが強い。鋭い目をさらに細めながら運転する弟に話しかけると「特にない」と面白味のない返事。
    「会社の人は憲伸が休んで困ったりしていないか?」
    「俺一人が休んだところでどうもならん。大体、休みに入る前に調整はしてきたからそこまで困ることはない…はずだ」
    「そうか。会社の人には悪いがお前が家にいてくれると私は嬉しいな…」
    走行音で掻き消されそうなほどの小声で独り言のように呟く。別に弟に届かなくてもいい。土日の休みですら企業部活の稽古で何かと忙しく動き回っている憲伸が、平日に家にいるという状況が何となく嬉しい。今日だって、憲伸がいなければ病院に行くのを先送りにして悪化させていたかもしれなかったし、何も予定を作らず早朝から私の仕事を手伝うことしか考えていなかったのかと思うと何とも言えない不思議な優越感が湧いてくる。
    自宅に着く直前の交差点で赤信号になり停止した瞬間、憲伸が徐ろに口を開いた。
    「何が嬉しいのかよくわからんが、このまままっすぐ帰ればいいのか?」
    「ん?」
    耳の良い弟には聞こえていたようだ。
    「買い物とか…あるだろ。その足で行けるのか」
    「ああ…そうだな、そうだったな。連れて行ってくれたら大助かりだが、一旦…着替えに帰ってもいいか?」
    「わかった」
    「ふふ…やさしい弟を持って幸せだな私は」
    わざわざ恥ずかしがるような言葉を選んで、今度は確実に聞こえる声量で言った。憲伸は進行方向を向いたまま、あからさまに眉をひそめ押し黙り……今度は聞かなかったことにする気だ。駄目だな。私の言葉で何らかの反応を示している時点でこちらの思うつぼだというのに。
    「ずっと私のそばにいればいいのに。お前がいなくなったら私は死ぬかもしれん」
    弟ははっとしたように、こちらを振り向く。面食らったように私を見ている。お互いの視線が交わり、自然に口の端が吊り上がる。
    「何なんだ急に…」
    「いなくなってほしくないだけだ。寂しいだろう」
    何かを言いたげに口を開きかけるが言葉にできないのか、急に稚さを帯びるその表情にいとおしさが込み上げてくる。
    「青だ。危ないから前を向きなさい」
    何も言わず、憲伸は目線を前に戻し車を発進させた。

     誰のものにもならないまま、ずっと私のそばにいればいいのに。
    私は弟の端正な横顔を眺めながら、よく晴れた真昼の陽気に相反する薄暗い気持ちで、そう願ってやまなかった。







    *****
    読んでくださってありがとうございました

    住職さんのお仕事の感じは親戚とかに聞いた話をもとに超適当です。
    弟倉さんのお仕事もふわ〜っと会社員としか決めてません。ただ何か武道系のスポーツ(剣道とか)をやっていてほしいので企業部活に入っている…この部活には片倉分隊メンバー全員いる…島田さんは直属の上司…などと色々自分の夢を詰め込んでます。違う部署に小杉さんと入来さんもいて、田丸くんも吉敷くんも泉くんも高木くんもみんな転生して同じ会社で楽しくお仕事しています。


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