Hard to say I'm lonely.通天教主には子どもがいた。
一見人間のように見えるが、頭に小さなツノが生えているので、きっと妖怪なんだろう。年頃は自分と同じくらいに見える。通天教主がその子を抱えて歩いているのを見かけた王奕は、しばらくして何事もなかったように手元の本に目を落とした。すると突然後ろから大きな腕に抱え上げられた。驚いて振り向くと、年の離れた兄弟子の聞仲だった。
「なんだよさわんなよ」王奕は怒って体をよじった。
「ハイハイハイ」聞仲はぜんぜん取り合わない。王奕はがんばって聞仲の腕から抜け出そうとしたが、相手が馬鹿力なせいでどうにもならない。
聞仲は王奕を抱いたまま、通天教主親子の方に近づいて行った。途中で「師父!」と呼びかける。大きな声に王奕は思わずびくっとしたが、気付いた通天教主が立ち止まってこちらを見た。その目の前に聞仲は、
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