芽生えゆったりとした空気が流れる平日の昼下がり。一番にアジトへ帰ってきたアバッキオはほかのメンバーの帰りを待っていた。次の任務までぼんやりと一人でまどろむこの時間は、ほっと落ち着く心地よいひとときだった。彼が苦手意識をもつ少年が帰ってくるまでは。
(よりによってこいつと二人きりか…)
ふわふわと揺れる三つ編みが目に入り、思わず心の中でひとりごちる。学校の授業を終えたらしいジョルノだ。いまだに彼への警戒心を捨てきれないアバッキオは、挨拶だけは交わし無言で遠くを眺めていた。すると少年がいつもの真っすぐな眼差しのまま、あまりにも意外なことを聞いてきたので、つい間抜けな声で聞き返してしまう。
「勉強を教えてほしい…?俺に?」
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