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    irsk0064

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    irsk0064

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    ハロウィン炎博♂
    慌てて書いたので雰囲気だけお届け

    よくある展開「ハッピーハロウィン!お菓子をくれないとイタズラするぞ!」
    「それで?」

    開口一番、たった3文字で切り捨てられてしまう。
    今日はハロウィン。
    治療に頑張っている子供たちや職員の皆に気分転換にと、ロドスのあちこちで催しが行われている。
    白いおばけの皮をかぶったドクターは子供たちの部屋を訪問し終えた後、ついでにとエンカクの部屋を訪れたのだった。
    エンカクといえば、今日は休暇だったので、ラフな部屋着にゆったりとベッドに長い足を投げ出すかたちで座っていた。
    左手にはなにやら本が握られているところから、読書でも楽しんでいたのかもしれない。

    「いや…あの…お菓子をくれないと、」
    「そんなものはない。」

    再び容赦なく切り捨てられる。
    流石は太刀と大剣を振り回す剣士だ、切り捨てるのはお手の物なのかもしれない。

    「じゃあいたずらを…」
    「ほぉ?非力なお前が何をする?」

    ぐぬ、とドクターは顔を顰める。
    予め作戦を練っておけば、なんらかの工作なりからかう会話だったりを繰り出せただろうが、ここを訪れることはほんの数分前に決めたのだ。
    突発的に何かをするのは子供たちには通用しても、このサルカズには到底難しいだろう。

    「もう少しノッてくれてもいいじゃないか。」
    「ならばもう少し趣向を凝らしてこい。」

    いま反省していたところだよ、と内心ぶちぶち呟きながらドクターは粗雑に白い布を脱ぎさる。
    仮装のため、いつものフルフェイスやジャケットは脱いでおり、そのせいか髪の毛はぐちゃぐちゃに乱れていた。

    「幽霊か。配役としては案外丁度良いだろうな。なんなら歩き回る死体でもいいくらいだ。」
    「…どうせ痩せっぽちの色白ですよっ」

    やけくそに脱いだ布を簡単にまとめてエンカクに投げるも、ドクターの予想通り、エンカクが片手で布を受け止める。
    そして物珍しそうに布を広げはじめたものだから、おや、とドクターはエンカクの顔を覗き込むようにベッド脇へ座る。

    「なんだ、君も参加してみたかったのか。」
    「そういう人間だと思ってもいないだろうに。」

    覗き込んだ顔はほとんど表情は変わっておらず、ただ布に視線が注がれているだけ。
    汚れかなにかあったのだろうかと不思議に思ったドクターが布へと視線を移した時、エンカクが口を開いた。

    「この行事の参加資格は?」
    「うん?ロドスの人間かつ仮装していれば大体クリアだ。」

    はて、とドクターが再びエンカクに視線を戻した時、エンカクはばさりとその布をかぶっていた。
    あ、という言葉をドクターが放つ隙すらなく、どさりとドクターはベッドへ押し倒される。

    「ちょっと、エンカク…?」
    「トリックオアトリート。」

    この瞬間、直感でドクターは気づいてしまった。
    よくわからないがこの目の前のサルカズはスイッチがはいってしまっている。
    部屋を訪れるのはもっと明るい時間が良かっただろうか。

    「もちろん、悪戯をされる覚悟はあるだろうな?」

    布の隙間から見えたエンカクの顔は、ここ最近で一番の意地悪な顔をしていたのを、ドクターは散々弄ばれた翌朝になってもよく覚えていた。



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