ウソツキとマガイモノ真島吾朗は読めない人間である。何をするにも常に笑みを浮かべ、突拍子もない行動をする。
長年の付き合いのはずなのについ、「読めねぇな」と呟いてしまう。
夜、目を閉じていると目の前から真島の声がしてふと目を開けた。目の前には何故かスーツ姿の真島が居た。
「桐生ちゃん、嘘はアカンで」
目の前の真島は不敵に笑う。だがそれはいつもの様な笑みではなく、どこか桐生を見据えたような目。
「何の、事だ」
何でアンタががココに居るだとか、何でそんな恰好なんだとか他に聞きたいことはあったはずなのに口から出た言葉はそれのみだった。
ふと、真島に向かって手を伸ばす。掴めると思って手を伸ばしたのに冷たい感覚と、ふにゃりと柔らかいものに触れる感覚があるのみ。
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