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    nmc29bananaxxx

    @nmc29bananaxxx

    君と篤に飢えた妖怪
    なんでも食べる
    絵とSSS無節操にぽいぽいする

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    nmc29bananaxxx

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    入+君 🐰篤🎂のアレ

    mutual love「はあ……」
     君島は深いため息をつきながら合宿所の廊下を歩いていた。「俺の処刑についてもっと詳しく教えてやる」と言って聞かない遠野に捕まり、練習終わりだというのに長々と話に付き合わされていたのである。
    (まったく、誕生日じゃなかったらこんなこと絶対に許されませんよ)
     彼の処刑に対する情熱は認めるが、だからといって自分にもそれを押しつける気持ちはいつまで経っても理解できない。そんな話を聞かなくとも、試合で嫌というほど見せられているのだから。それこそ、他のチームメイトに処刑法について説明できてしまうくらいに。
    「あれ、君島」
    「入江くん」
     もう一つため息をついたところで、そのチームメイトに声をかけられる。入江もまた、遠野の誕生日祝いに一役買った男だ。
    「遠野、喜んでたね」
    「ええ、あのパイアートは見事でしたから。まさか本当にアップルパイに処刑を表現できるとは思いませんでしたよ」
    「ふふ、上手くできて良かったよ。……でもさ、ボク思ったんだけど」
    「何ですか」
     入江は大きな瞳をすっと細めると、おどけたような表情で呟いた。
    「遠野って、本当に君島のことが好きなんだなって」
    「……どうして、今の話からそうなるんです」
    「だってさあ、君島のアドバイスのお陰でいいものができたのは確かだけど、作ったのはボクじゃない?なのに遠野ったら『流石君島だなァ!』ってキミの話ばかりするんだもの」
     なんだか妬けちゃうな、なんて冗談めいて言うものだから、君島は思わず眉間に皺を寄せた。入江が突拍子もないことを言うのはいつものことだが、ここでペースを崩されるわけにはいかない。
    「アナタのことも褒めていましたよ」
    「うん、そうなんだけどさ。……遠野もだけど、君島も何だかんだ言って彼のこと好きだよね」
    「は、」
    「ダブルスパートナーとはいえ、あんなに詳しく処刑について説明できるなんて大したものだよ。よく見てるんだね、遠野のこと」
    「それは、それこそダブルスを組んでいますから」
    「それだけじゃないと思うけど?いいな、相思相愛じゃない」
     なーんてね、と入江はお得意のセリフを言って颯爽と立ち去った。その場に取り残された君島は呆気に取られるも、最後の言葉がいつまでも頭の中に残っていた。
    (これのどこが相思相愛なんですか……)

    End.
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    nmc29bananaxxx

    MEMO📕のアレ 月+篤 ちょっと🗼🗼匂わせ
    さして興味はない、が 目当ての本を無事購入し、越知は都内の街並みを歩いていた。ふと、特大広告が目に留まる。
    (君島か)
     近頃の君島は芸能人としての人気がますます高まっているようで、そこかしこで彼の姿を見かけるのだ。相変わらず活躍しているようで何よりだと思いながら、スマートフォンを取り出してカメラを起動させた。
    (……悪くない)
     人が写り込むことも、光の反射が入ることもなく、なかなか良い写真が撮れたのではないか。だからと言ってどうということもないが。スマートフォンをポケットにしまい、また足を進めるとカフェが目に入った。少し休憩でもするかと、店内に入りコーヒーを注文する。
     一息ついたところで、先ほど撮った写真を思い出した越知は再びスマートフォンを手にし、トークアプリを起動させた。通知の一番上にあるトーク画面に、写真を送信する。ほどなくして『新しいCMのやつですね!めっちゃかっこいいです!』という返信と、キラキラと目を輝かせるうさいぬのスタンプが送られてきた。越知はこうして、君島を慕う後輩のためにときどき写真を送ることがある。そのたびに良いリアクションを返してくれるから、口角も上がってしまうというものだ(喩えそれが誰にも気づかれない程度だとしても)。
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