佐藤 綾人の話。何においても中の中、ちょっと出来ても中の上。
なんの取り柄もない俺だけど、ずっと願ってた。
些細なものでよかった、でもそれでも叶わなかった。
だから、全部諦めてしまった。
昔の俺は今からは想像できないくらい、活発な子供だった。ガキ大将なんて呼ばれることもあったっけ。弱いものいじめが許せなくて、そういう奴がいたら戦ったりもしていた。そんな俺にいつも付き添ってくれていたのが、幼なじみのルカとりっちゃんだった。
「あんな奴らほっとけばいいのに。」
ルカはよく面倒くさそうに言っていたが、何だかんだいつも俺に着いてきてくれていた。
「綾人といると飽きなくていーよな!」
りっちゃんは笑いながら率先していじめっ子を成敗していた。まああれは正義感というより、暴力的だったというだろう。
1948