飲みゲー 芭流覇羅「一虎くん、オレに飲ませてください」
オレの1番信頼してる部下がそう言ってきた
酒でいい気分になってたのに
芭流覇羅に入って初めて飲みに参加した
大人数で群れるのが苦手だからいつも顔を出さなかったが今日は半間くんが帰らせてくれなかった
そのくせして半間くんはいつのまにかいなくなってたのが少し癪に障る
しばらくして盛り上がった奴らが飲みゲーを始めた
オレは負けたからイッキをしなければならない
そこで代わりに飲みますよなんて言われた
オレがまだ中坊だからこいつらから見たらガキにしか見えないんだろうな
その一つ一つの言葉がオレを否定しているように聞こえる
「舐めてんの」
そう返すとすぐに謝ってきた、余計なこと言うなら最初から黙ってろよ
名前も顔も曖昧なやつから受け取ったのは鏡月1瓶だった
「一虎くんは今回初参加ってことでこれでいいっすよ笑笑」
コイツらがチェイサーに使ってる酒を渡された、ムカつくやつばっかり
たしか3個上だったかなコイツ
自分より年下が上にいるのにムカついてんだろーな
鏡月を受けとりそのままそいつの頭を殴った
周りの奴らは楽しそうに見てる
こういうことが好きなやつが多い
オレがいつも連れてるコイツらもオレのこういうとこが好きなんだろうって向けられた視線からわかる
殴ったやつが喚いてうるせーから処理しといてもらって飲みにもどる
「で、どの酒飲む?」
鏡月野郎に変わって別のやつが聞いてきた
「どれでもいいよ」
正直酒なんて出所してから飲み出したし、イッキとかも今回が初めてであんまわかってない
差し出されたよくわからない酒を受け取る
唇にビンの飲み口が触れる
あーやっぱ好きじゃない
消毒っぽい匂いとか
でもアルコールでフワフワするのは好きだ
コールに合わせて飲みはじめる
半分くらいくると匂いでえずきそうになる
シンプルにまずい、喉の奥で広がるあつさとにがみが不快だった
飲み終わるとすぐにチェイサーを渡してくれた
何もないよりましだけどほんとは水がいいとか舐められたくないし言えない
周りの奴らは満足気に盛り上がっていた
1番年下の代のオレが最後まで飲み切ったのをみてヘタレで飲まなかったやつに非難轟々しているやつもいた
その後もゲームは続いたが途中で抜けてさっきの鏡月野郎の場所に向かった
鏡月野郎の様子をみてがっかりした
「あーあオレがやるとこ全然残ってないじゃん」
もう腕も折ってあるし顔も陥没してる
「ちゃんと爪は残してますよ」
「んー」
もう酔ってるから正直気分はいい
爪しか残ってないのは残念だったけどまあいいや
ポケットからいつも使ってる裁縫の針を取り出す
今はなんでも面白いからオレのポッケから裁縫道具が出てくるのでさえいつもの光景なのに笑える
「爪出してよせんぱい♡」
なんか怒って暴れてておもしろいけど右手折れてるから全然意味ないよ
ちゃんと止まってないと痛いのそっちでしょ
人差し指の爪と肉の間に裁縫の針を当てゆっくり奥に動かす
「あーやば」
少し硬いところをグッと力を込めてなんとか最後まで到着
針を少しトントンしたりするだけで喚いてこんなおもしろいことない
でも針だけじゃ盛り上がらない
「なんかいいモン持ってない?」
「爪切りとペンチあります」
「い〜ね」
コイツらはオレの趣味ちゃんとわかってんだよな
「先輩の爪オレが切ってやるよ笑」
爪切りを受け取り親指の爪にあてがう
深爪に切ると少し痛そうにしてこれからどうなるのか不安で震えてるのがなんとも言えない
そのままピンクの部分と少しの肉を同時に挟んで切る
あんまり面白くない反応だな〜
「うーん、次ペンチ貸して」
・
・
・
そんなことやってたら結構時間が経ってた
「あー楽しんだ」
ちょうど向こうの方から叫び声やら騒いだ声が聞こえてきた
「なんの音」
「あー、あっち加藤が女連れてきてまわしてるらしいですよ」
汚い、
嫌悪感を抱いた
別にそういうことに対して嫌悪感を抱いたんじゃない、自分だって男だし興味はある
ただなんとなくでそう思った
「冷やかしで見てこーぜ」
少し興味があった。
薄暗い路地のほうに向かう
普通のやつなら近寄んないのにどんな女がノコノコきたんだ、とか考えながら騒がしい声がするほうに近づく
そこで見たのはミディアムくらいの黒い髪をひとつに結んでいる女が殴られおびえながら強姦されている姿だった
「あれ?一虎くん来たの?今日の女めっちゃ目くりくりでかわいいし加虐性やべ〜ッすよ♡」
最後まで聞いてなかった、その言葉を聞き終わる前に帰るという言葉だけ残してその場を離れてた
お疲れ様です!!といういつもならうるさいくらい大きな声ですらはっきり聞こえなかった
人がいない場所まできて口から出たのは今日食べたコンビニ飯、途中からただただ透明な酒、それだけだった
後書き
かずくんは性欲や性的なものに興味はあるけど、女が怯えてる状況に対してトラウマがあります
最初強姦ってきいたときから嫌な予感はしてて、でも性的なものを生で見ることがこの年齢の男の子にはあまりなくて興味の方が勝っちゃった
そんでトラウマと酒のせいもあって吐いちゃう
吐いたものに何ひとつ母親の作ったものがないのをみて、それがまたなんとも言えない
もっと酔った描写入れたかったな、供養