俺たちの復讐これは、なんなんだろうか。
俺の何への罰なんだろうか。
高揚していたはずの身体はすっと冷え切って、ただスポットライトが俺の表面を焦がすのみだった。
ほぼいない観客、まばら以下の拍手。
がくりと腕を落とすと、重力に従い指からピックが落ちた。
暗転と共に俺は感情をシャットダウンさせた。
タバコ臭いライブハウスの、さらに深淵たる控え室。ギターをケースにしまいながらケイゴは脳内で勘定していた。
自分名義の客なんて呼べていないから、バック0。丸ごとの赤字。今後に繋がる何かもなく、ただの時間の無駄。
出番前だと言うのに呑気にぎゃあぎゃあ騒ぐ共演者を横目に、息を吐いた。
「…っす」
愛想を振り撒く余裕も無く、ケースを背負って重い扉を開ける。挨拶は当然奴らには届いていないが、気にも留めなかった。
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