一心同体(観赤)「ちょっ、と、」
「待て」という自分の声が眼前からするのを観月は聞いた。迫った地面に反響した声だ。
倒れかけて、手をつこうとして、危うく捻りそうになり、結局手を庇って倒れた。
少し先を行く淳が「ドンマイ」と言って笑っている。彼とペアの柳沢が振り返ると、地面に倒れた観月と赤澤がごちゃごちゃに絡まっている。
「何してるだーね、ウチの問題児コンビは」
「お前たちだろ!」
「観月、重い」
二人は部のブレーンの間抜けな姿でひとしきり笑うと、長いハチマキを翻してさっさと行ってしまった。
繋いだ足がひょいっと上がる。そしてすぐに逆の足が上がって、進む。息ぴったりの動作だ。
「あいつらを組ませたのは正解だったな」と――コケにされた己の自尊心を無意識に回復させようという旨意はありつつも――観月は感心した。
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