マフィアパロ タル蛍ん〜…よし、100枚ベットだ。どうせ負けても失うのははした金だしね」
含みのあるような笑みを浮かべながら積み上げられたチップを差し出すこの男。
歳は20程だろうか。
青い瞳に橙色の肌。西欧のビスクドールのような白い肌に整った顔立ちをしており、その見た目から女性受けしそうな甘いマスクをしている。しかしそんな端正な顔をしているにも関わらず彼の表情にはどこか軽薄で小狡い印象を受けるのだ。
それはまるで道化師が化粧をするかのような白々しい演技にも似た胡散臭さを感じさせる。光を映さぬ深海色の髪も相俟って、まるで深淵を覗き込むかの様な不気味さを醸し出していた。
ここは、違法カジノの地下闘技場である。
賭博場としての収益以外にも非合法な賭け試合や奴隷市場なども兼ねている地下施設であり、大企業の重役から極道やマフィアまで幅広い顧客層を抱えている。
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