Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ウラベネムコ

    @urabe0519

    202504現在Elinロイファリ関連多め
    他SO2アシュレナ
    ご感想はこちらへ→https://marshmallow-qa.com/urabe0519

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 124

    ウラベネムコ

    ☆quiet follow

    2025-07-27
    こいついつも酔っ払ってるな

    ##ロイファリ
    ##ファリスさん劣情部

    クマさんなのです「聞いてますか、ロイテル様……」
    「……ああ、聞いているよ、ファリスさん」
    秋の夜風が冷たく頬を撫でる帰り道。
    月明かりに照らされた石畳を、二人並んで歩いていた。
    酒場で軽く飲んでいたはずのファリスは、すっかり酔いが回っている。

    ロイテルは一歩先を歩く彼女にちらりと視線を送りつつ、内心で肩を竦めた。
    (さて……この酔っ払いを、どうしたものか)
    酔って頬を赤らめたファリスは、歩くたびにふらふらと体を揺らしていて、見ているこっちが不安になる。そのくせ、どこか楽しそうに、いたずらっぽく笑っていた。
    「私はクマになるのです。がおー」
    くるりと振り返り、両手を頭の横で丸くして威嚇のポーズ。目元はとろんとしているのに、本人なりに精一杯の真剣さで演じているのだろう。
    「おお、怖い怖い」
    ロイテルは困ったように笑いながらも、適当に相槌を打つ。酔っているとはいえ、こんなにも子供っぽくなるとは思わなかった。
    「がおー……お、おぉ……」
    次の瞬間、ファリスは足元をふらつかせ、そのままバランスを崩した。
    「おっと……!」
    素早く手を伸ばしたロイテルは、彼女の細い体を片腕でしっかりと受け止めた。勢いのまま、ぐっと胸元へと引き寄せる。
    「怪我はないかね?」
    「……ないです……うー……」
    ファリスはロイテルの胸に顔を埋めたまま、小さく唸るようにぐずり始める。その声はまるで子猫のようにか細く、情けないほど可愛かった。
    「うー……」
    「どうした? 気分が優れないのか?」
    優しく問いかけると、ファリスは胸元に顔をすり寄せたまま、ぽつぽつと言葉を零した。
    「優れないです……寂しいのです……お別れしたくないのです……」
    しがみつきながら囁かれる言葉に、ロイテルは思わず笑みを零す。
    「……可愛いことを言って……」
    そのまま、ふと手を顎に添えて、彼女の顔を軽く持ち上げる。そして、そっと唇を重ねた。
    ファリスは抗うことなく、むしろ待っていたように、甘く唇を返す。胸元をきゅっと掴む手が震えている。彼女の熱が、唇越しにじんわりと伝わってきた。
    「こんなに甘えん坊だったとはな」
    「……私に甘え方を教えたのは、ロイテル様なのです……」
    ロイテルの笑みを見て、拗ねたように返すファリス。その言葉は怒っているようでいて、どこか嬉しそうでもあった。
    「分かった分かった。……念のため聞くが、部屋に私が入っても平気なのか?」
    「……良いです……けど……あんまり、見ちゃだめ、なのです……」
    彼女の部屋の散らかりようは、今に始まったことではない。ロイテルももう慣れていたが、そう言って拗ねる姿がまた愛しく思えた。



    ファリスの部屋は――案の定、物に溢れていた。
    服、書物、楽譜の切れ端、瓶のラベル、あたらしく増えたぬいぐるみ……そのすべてが雑然と床に転がっている。ロイテルは溜め息をひとつ吐きながら、部屋の奥を見やる。
    「……」
    「ロイテル様……?」
    ファリスが心配そうに顔を上げた。ロイテルは黙ったまま、部屋の棚に立てかけてあった何かを手に取って、彼女のもとへ歩み寄る。
    「クマになると言っていたな。……ほら」
    彼の手には、茶色のふわふわとしたカチューシャ。クマ耳がちょこんとついたそれを、まるで迷いなく、ファリスの頭に装着する。
    「はぇ……え……?」
    ぽかんとするファリス。自分の頭に何か乗ったことに気づいて、思わず両手で頭を押さえる。そして、状況を理解して、耳まで赤く染め上げた。
    「が、がお……」
    恥じらいに震えながらも、さっきのポーズを再現する。両手を上げて、精一杯の「威嚇」。けれど――それはどう見ても、獣ではなく、愛玩動物のようだった。
    ロイテルはその可愛さに耐えきれず、腕を伸ばす。
    「……っ……!」
    ふわりと抱き上げられたかと思えば、次の瞬間、ファリスはベッドの上に押し倒されていた。
    「ほら、もっと威嚇しないと、逆に食われるぞ。可愛いクマさん」
    「う、うぅ……がおお……っ♥」
    精一杯の抵抗は、愛らしい呻きに変わった。

    その夜、ファリスはクマではなく――とびきり甘い夜の獲物となったのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works