悟空は修行に打ち込むとしばらくは帰宅することすら忘れて夢中になってしまう性質ではあるが、家が嫌いというわけではない。むしろ、悟空にとってパオズ山の自宅は落ち着ける大切な場所である。
さて、その自宅に久方振りに悟空が戻ってきたのだが、自宅の様子がいつもと違った。
妻であるチチが不在だったのである。いや、それ自体は珍しいことではない、彼女とて出かけることはある。ただ、悟空が我が家に戻ってきたのは夜だったので、その時間に彼女がいないことに彼はとても驚いた。
「おらはちゃあんと、悟空さのスマホにメッセージ送っただよ。何だったらウチのテーブルに手書きのメモだって書いて置いたおいただ」
「はは……いや、その…悪ィ」
1951