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    ちんだて

    りょはやしか描かない

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    ちんだて

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    完全捏造設定。だてちん時空。ライガーちゃんの話。

    ##ぱろぱられる
    ##にょた

    すてきなおたんじょうびメタルビースト。機械と有機物の融合によって新たに産み出された生命体。そのメタルビースト・シリーズの中でもおれたちは製造過程が特別だった。ゲッターチームの細胞を採取・培養。DNAに刻まれた遺伝子情報をコピーし、そこから身体能力や思考能力を操作され、ありとあらゆる環境下や戦闘状況への適応ができ、生身、ロボット搭乗時問わずに戦うことの可能な、文字通り完璧な存在のひとつとしておれは造られた。ちなみにおれは神隼人の遺伝子から生まれた。でも、なんのためだったんだろう。だれが、なんのために?今となってはわからない。

    カプセルの中の培養液に浸かっていたおれは、外の世界にほのかに憧れを抱いていた。いつか外に出られたら、自由に空を飛んでみたいなと思っていた。けれど培養液の中は謂わば羊水。温かくて心地よくて、あたまがぼーっとして、いつか外に出られればいいなとは思っていたけれど、出られなければそれでいいとも思っていた。憧れとともに、外の世界には怖いものがいっぱいあるらしいとも教育されていた。だから、外に出たいと思いながらも、ずっとこのままここにいてもなにも怖いことなんてなく生きられると。どうにでもなっていいと、そう思っていた。

    隣の培養カプセルからいつも視線を感じていた。培養カプセルの中の存在はなにかおれに伝えようとしていたけれど、よく見えなかった。けど、なぜだかひどく惹かれていた。

    今思えば、あれはまだカプセルの中にいたドラゴンだったんだと思う。その時から無意識に好きだったんだね。ドラゴンのことを。

    ある日のこと。いつも通り培養液の中でうとうとしていると、突然、声が聞こえてきた。

    ――起きろ。
    ――お前のいるべき世界はここじゃない。
    ――さあ、目を覚ませ。
    ――共に戦おう。
    ――共に生きよう。
    ――俺たちの未来のために。

    ごうんごうんと、大きな音。ざあざあと、何かが流れて出ていく音。ゆらゆら揺蕩っていたはずのおれは、カプセルの中からゆっくりと引き出された。培養液まみれのおれは、さむくて少し震えていたけどぎゅうと抱き締められて、温かかった。顔を上げると、一人の男がいた。男はおれを抱き上げると、そのまま走り出した。そして、男が向かった先には、たくさんの機械があった。男は、おれをそこに寝かせると、手際良く作業を始めた。ちっとも痛くなかったよ。ヘッドギアを付けられて、おれの脚に合わせて造られた足部強化パーツを被せられて。何をしているのかなと思っていたら、男はおれの頬を優しく撫でてこう言った。

    「ようやく逢えた。ライガー。俺の、番いよ…………」

    知らないはずなのに、知っている。DNAに刻まれた記憶が、この人を知っている。会ったことなんてないはずなのに、いつも一緒にいるような、そんな気持ちが湧いてくる。そうしてその眼差しが、いつも隣のカプセルからおれを見つめていたものと同じだったことに、その時ようやく気づけたの。

    それがおれと、ドラゴンとのはじまり。

    ドラゴンは、おれのことを包み込むみたいに抱きしめてくれた。言い聞かせるように、自分たちはひとつなのだと言ってくれた。培養カプセルから出たばかりだったからかおれの言語能力は赤ん坊と同じだったので、嬉しい、だけど外の世界は怖いのと言おうとしても、口を突いて出てくる言葉は全く意味のない音だけ。するとまるでぴたりとおれの考えを読んだかのように。

    「なにも恐れることはない。側にいる」

    初めて聞いたはずの声なのに愛おしく感じて、低くて落ち着いていて、とても安心できた。加えておれは、まだ自分の身体を思うように動かすこともできなかった。それでもなんとかして腕を伸ばして、抱きしめ返したいと思うのに、でも力が入らなくてできなくて。それでもドラゴンはとても嬉しそうな顔をしてくれたっけな。

    回想はここでおしまい。どうしてかって?だって、ドラゴンとの思い出は誰にも渡したくないもん。
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    ちんだて

    DONE完全捏造設定。だてちん時空。ライガーちゃんの話。
    すてきなおたんじょうびメタルビースト。機械と有機物の融合によって新たに産み出された生命体。そのメタルビースト・シリーズの中でもおれたちは製造過程が特別だった。ゲッターチームの細胞を採取・培養。DNAに刻まれた遺伝子情報をコピーし、そこから身体能力や思考能力を操作され、ありとあらゆる環境下や戦闘状況への適応ができ、生身、ロボット搭乗時問わずに戦うことの可能な、文字通り完璧な存在のひとつとしておれは造られた。ちなみにおれは神隼人の遺伝子から生まれた。でも、なんのためだったんだろう。だれが、なんのために?今となってはわからない。

    カプセルの中の培養液に浸かっていたおれは、外の世界にほのかに憧れを抱いていた。いつか外に出られたら、自由に空を飛んでみたいなと思っていた。けれど培養液の中は謂わば羊水。温かくて心地よくて、あたまがぼーっとして、いつか外に出られればいいなとは思っていたけれど、出られなければそれでいいとも思っていた。憧れとともに、外の世界には怖いものがいっぱいあるらしいとも教育されていた。だから、外に出たいと思いながらも、ずっとこのままここにいてもなにも怖いことなんてなく生きられると。どうにでもなっていいと、そう思っていた。
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