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    まいか

    えっちなのとからくがきとか進捗とかwebオンリーの展示とかごった煮。
    X離れの波を受けて暫定的に投稿再開しました。

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    まいか

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    ワノ国編ifメリーバッドエンド CP0戦共闘if

    #イゾマル

    掌中のほうき星 パチパチと炎の爆ぜる音がきこえる。喘鳴のような己の呼吸は掻き消されるばかりなのに、徐々に間隔の長くなる脈拍が首筋から脳幹へと煩く響く。――もう、ほんの一匙の灯火を点すことすらできずに、ただただ命の終わりを待っていた。
    「マルコ」
     己の名を呼ぶ声に、重くなった瞼を持ち上げる。力なく投げ出した指先を、同じくらい酷い怪我を負ったイゾウの手が握り込んでいる。
     また守れなかった。せっかく、あとすこしで彼の悲願が叶うところだったのに。独りきりで逝かせずに済んだだけよかったのかな――でも、それよりも、生きていてほしかった。
    「……お前のことが好きだ」
     ひどく穏やかな声で、いまさら明確な形を与えられた想いに、心当たりならいくらでもあって。人よりずっと頑丈な自分を、守る必要などない、こんな埒外の化け物を。危険の只中に飛び込んででも助けようとしてくれた。守っていてくれた。
    「おれ、は……」答えを探してマルコは、言葉に詰まる。家族でいられれば幸せだった。兄弟というよりも友達だった。けれど、もしも違うカタチの愛がそこに介在したのなら。何か結末は変わっただろうか。共に生きてほしいと、言えたのだろうか。
    「お前のこと、好き……なのかどうか、よくわかんねえ……。そういうの、もうとっくに、通り越してたよい……」
    「……そうか」
     答えになってすらいない、ひどいことを言ったのに。心得たとでも言うように、イゾウは笑った。
     繋いだ指先から伝わる体温も、伝える温度も冷えていくばかりなのに、少しも寒くはなかった。触れ合った場所から、胸の奥から、絶え間なく溢れる何かが、消えかけの命を優しく包み込む。
    「……あったかい……。これが、好きってこと……なのか、な……」
     殆どうわごとのように呟く中で、ゆっくりとマルコの視界は閉じていく。
     隣にいるとき、背中を預けたとき、何だってできると思った。怖いものなんてひとつもなかった。――父の背中の次に、安心できる場所だった。
     答えはとっくに、繋いだ手の中にあったような気がした。
     すこしでも、なにか、返せていたのならと――……願いのかわりにひとつ、涙、が。

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    image song:Peace of mind/angela
    鮒RLのオマージュです
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