なんて罪深いハッピーエンド 目を閉じて夜に墜落するたび、懐かしい声がきこえる。
覚えていろと、託されたものを投げ出すなと――何度もわたしを生へと突き放した、優しくて残酷な男の声だ。
――べつに、死んでしまいたかったわけじゃない。
アーテリスを脅かす終焉を退け、最後の旅路を共に歩んだ仲間たちは生きている。この星にはまだ数え切れないほどの未踏や未知があり、分かたれたヒトの一生を費やしたとて、すべてを知ることなどできない。
英雄、などと大仰な名で呼ばれる以前から、冒険者は『冒険者』だったのだ。最果てのソラで死合った『友』が己をそう呼んだとき、自然と口端が吊り上がった。きっと自分は大切な仲間にも愛した男にも到底見せられないような、獰猛な笑みを浮かべていたことだろう。
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