宝探しをしようよと木霊が鳴る。
「しねえよ。こっちはオマエを守るために二桁殺ったばかりだぞ」
防衛戦は好きではない。暁人に今日の仕事は一人で十分だから仕事に行けと言った手前、大した怪我はしていないが疲れた。
「そういえば暁人のヤツ、すんなり言うこと聞いたな」
元々今時信じられないくらい素直な青年であるが最近はオレが一人で仕事を済ませようとするとはっきりとは言わないが拒否の姿勢を見せていた。心配性ではある。両親を亡くし、妹も喪いかけていたのだから当然だ。しかしそれだけではない、暁人自身も口に出せない、何かがあったようだった。
それが最近急に消え失せた。
一瞬嫌われたのかとも思ったがそういうわけでもない。
「そう言うなら怪我して帰ってきたら承知しないからね」
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