みっつの、距離感モブ「きゃあぁぁっ…!!」
耳を突くほどの叫び声…とまではいかない、すこし配慮した誰かの叫び声。
つわぐ「?ぇ、あ、…えっ、?!どうかしましt」
モブ「ぁ……あ、あれ、!!あれ…!!」
指をさしながら、か細い震えた声で…その人が必死に訴えかけてくるものだから
何かと思って指のさす方を見てみた。
そしたらさ
つわぐ「…っ?!えっ、…みり、!!」
タッタッタッ。
廊下に響き渡る音。
その音が耳に入らないくらい、考えながら必死に走った。
間に合えって
その一心で
ただ只管に、どれだけ廊下を走っちゃダメと言われても
その走っちゃダメな理由を知ってても
なんでこんなに必死に走ってるんだろって考えても
その理由は知らなくても
走った
走ったよ
後先考えずに。
バンッ、!
つわぐ「はぁ…っ、みり、?!」
つわぐ「…なんで、また、?」
…
みりせつ。彼の名前
数cm届かないような俺たちの距離感
そこに上り詰めちゃ
ダメなんだなって
みり「…」
みり「…えへ、ししょー、また…来てくれたんですね。」
なんで、喜んでるんだ?
こんなに、こんなに危ない状況ってのに。
つわぐ「そりゃ、さぁ、?!…」
あれ
…言葉に詰まる
ここに来た理由
そうだ、全然そっちは考えてなかった
なんで俺、ここに来たんだ?
つわぐ「…お前だって、俺が屋上に立ってたらこうやって来るだろ…?」
みり「それはどうでしょーね」
つわぐ「…どういうことだ?」
みり「さぁ?」
みり「…ふふっ、よかったですでも。」
つわぐ「?何がさ?」
みり「これ、」
グーに握られてた手。
から出てきた…三角で緑の髪飾り。
…え?ん?
みり「きれいにしといたので、返しますね。」
つわぐ「えっ、」
みり「…ぼくもういくんですよ。わかるでしょ?」
つわぐ「…!いやでも」
みり「んー?なんですかー」
つわぐ「……」
みり「ししょーには、たくさんたくさん色んなことを教わりました。」
みり「それで、その、…さいごに、」
みり「今までありがとうございました!」
みり「…っていう、!…ことですよ」
つわぐ「…」
なんで
つわぐ「…みり」
なんで、こんな時も笑ってるんだよ
こうするしかない程、辛い痛い苦しいようなことがあったんだろ?
なぁ、?
なんでそうやって隠すんだよ
なんでそうやって誤魔化すんだよ
そんなに、そんなに周りが不甲斐ない?
みり「!…なんですk」
つわぐ「今から、俺の目を見て答えて。」
…
みり「へ?えっ、…」
?
何?
明らかに
雰囲気が……
つわぐ「いいか?」
みり「は…はい…!…」
つわぐ「…まずさ」
つわぐ「何か悩んでるんだろ?だったらなんで相談とかしないんだ?」
つわぐ「別に相談じゃなくてもいい。ただ、なんでもう自殺するしかないってとこまで自分を追い込む?」
みり「えっ、…と、…んー、?」
つわぐ「誤魔化すなよ、目、ちゃんと見て」
みり「……」
みり「…_____。」
つわぐ「?…何…」
みり「それは、答えられません、!」
つわぐ「……そっか。何で?」
みり「えっと…」
つわぐ「っ、」
つわぐ「また、目逸らした」
みり「えっ、?」
がしっ、(肩)
つわぐ「ねぇみり、?そろそろいい加減にさぁ」
みり「わっ、?!」
つわぐ「俺の目を見て、ちゃんと話してくれよ!!」
みり「!」
つわぐ「毎回逸らすよな、どんだけ仲良くなったと思ってもずーーーーーっと!!」
つわぐ「俺待ってたよ、5秒以上俺の目を見て話してくれるのを毎日毎日毎日毎日、!!」
つわぐ「でもそれもこのザマだよ。結局叶わないまま終わろうとしてる!」
つわぐ「なぁ、?なんで逸らすんだよ…?」泣
感情が、もう、抑えられないくらいに昂ってしまって
おれの、止まれって思いも無視して勝手に溢れていく涙。
そして…
みり「…」
ごめんな、こんな、やつで。
みり「…うん、せっかくですし…」
みり「話してあげましょうか?…理由。」
みり「…あなたが思っている以上に、頭のおかしい理由ですけどね、(笑」
それから、全部隠さずに
俺の言った通りに、全てを話してくれた。
…恋愛的な意味の方の"好き"で、目を、合わせられなかったらしい
…
俺が馬鹿みたいだな。ほーんと。
本人はおれに「気持ち悪い」って思われるーみたいなこと言ってたけど
あーあ。これ、おれがさ、
立ち入り禁止の区域に無理やり入り込んだみたい。
つわぐ「ごめん、ごめん、みり、」
つわぐ「…ごめん。」
屋上から、虚ろにぼやけて目に写るみりのことを眺めてた。
ただ、ボットみたいにごめんって呟きながら
何も出来ずに、眺めていた
おれが、本音を口に出してしまわなければ
何か違ったかな
数日後
ちょうづき「…」
私は今日、お供え物を届けにきました。
最近…というか、1週間前に亡くなってしまった、みりのお墓に。
ちょうづき「…最近じゃもう、つわぐはずーっと虚ろな目ーしてるよ、」
ちょうづき「ほんとうにこれが、望みだったの?」
…
ちょうづき「私、考えたんだよね」
ちょうづき「みりが1週間前に、学校にこれなくなってからさ」
ちょうづき「…それでね、気づいたの」
ちょうづき「……私、みりに恋してるみたいだよ?」