眩しい光を眺めていた。
西の仕立て屋くんが用意してくれた煌びやかな衣装に身を包み、華やかなダンスホールを二階から冷やかすように眺めている。酒を片手に、腕はだらしなく手すりに引っ掛けて。ダンスホールでは、精霊たちが手を取り合って踊っていた。
隣にいるファウストも同じようにオルヘルの衣装を着て、横顔をダンスホールの煌びやかな光に照らされながら、じっと階下を眺めている。
「あんたも踊ってみる?」
踊る精霊たちを指差して、ニヤリと口角を上げた。
アルコールが心地よく沁みている。身体も頭も、口も軽くなってしまったようだ。滑るように出た言葉は世間話の延長線、軽い舌に乗せてなんとなく言ってみただけ。きっとファウストは「踊らない」と言うだろう。でも多分、少し笑ってくれるはずだ。そんな、小さな甘えのような取り留めのない問いかけだった。
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