いっけなーい遅刻遅刻ぅ!
「もう、エアリアルったらどうして起こしてくれなかったの!?」
私、スレッタ・マーキュリー。17歳!フツーの女子高生!
今日は授業が無い土曜日だけど、大事な用があるの。それはね……
ぱぁん。しゅーん。とっ!
真っ直ぐに飛ぶ矢が、空気を切った。
すぐさまその矢を目で追うと、矢は惜しくも的のそばに刺さった。
(よかった。エランさんの番はまだだ……)
心の中でホッと息をついた。
観客席に腰をかけ、選手の方をそっと見ると、エランさんは床に正座をし、出番を待っているところだった。
今日は弓道の地区大会の日。この日に良い成績を残せば、次はもっと大きい地区の大会に出ることになるらしい。エランさんは私よりひとつ上の三年生で、弓道部に所属している。エランさんはキャプテン(弓道だから、部長と言った方が良いかも?)ではないけれど、エースだ。それぞれの学校から出る選手は五人で、その最初と最後に射る人が上手いと聞いたことがあったけれど、エランさんの正座している位置は、先頭だった。
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