鶏鳴狗盗明かりが蝋燭しかない薄暗い部屋。
その弱い明かりが、香と煙管を浮かび上がらせる。
「さてと、生年月日は?」
目の前の男は、いつもと異なる服に身を包み、ニッコリと胡散臭い笑顔を浮かべる。揺れる蝋燭の炎が、男の眼鏡に反射する。
「ほれ、はよ。」
そう言って目の前の男はクイっと人差し指を曲げる。
シャラン……
静かな空間に、シャガラの腕輪がぶつかる金属音が響く。
「シャガラ様……これは、なんの真似でしょうか?」
「なにって、占いや。」
「占い、ですか?」
シャオは怪訝な顔でシャガラの顔を覗き込んだ。この男が、占いなんて根拠の無いものを信じている。それがシャオには信じられなかった。
「ワシの占いは当たるで?これで食うていける程に……な?」
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