もしもあの後クルガンが復活したら11日目夜
大人の両手に収まるほどの銀色の杯には、深い森を思わせる大きな緑色の宝石がはめ込まれている。見た目の優美さに反してずっしりと重いそれを慎重に旅荷にしまいこむと、サーレントは深く頭を下げた。
「ありがとうございます。でも本当に申し訳ありません……エレミアさんも大変な時なのに」
サーレントの言葉に、銀混じりの髪を持つ貴人は、髭の口元に微笑を浮かべて頷いた。
「気にすることはありません。君たちには何やら込み入った事情があるとカスタギアさんから伺っていますから。遠慮せず持って行ってください」
「はい……」
「サーレントさんも魔物には気をつけてください」
***
「やっぱ金持ちっていうのは、なんつーか、『格』? っつーモンが違うね」
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