サーレントパーティの話「ナビゲーターぁ?」
レギンは朝食のパンの上の卵を危うく床に落としてしまいそうになりながら、声を上げる。
「ああ。いや、まあ、とは言っても、そんな大層な肩書きに見合うような仕事内容でもないんじゃがな」
カスタギアは、息子の相変わらずの落ち着きのない仕草に眉根を寄せながら、新聞を片手にカップのコーヒーをすすった。
「平たく言って、ただの道案内役じゃよ」
湿った潮風と砂漠からの熱風の交錯する港町、オリアブ。その片隅のカスタギア雑貨店。父一人、子一人の朝の食卓の風景である。
「ミュンヒのやつめが、近いうちにこの町の近くで発掘作業を始めるらしいんじゃ。ほれ、砂漠の入り口に古い遺跡があるじゃろ? なんでも、あいつが長年研究しておった何とかって石が、その遺跡にも眠っている可能性が高いらしいんじゃ」
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