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    kabe_rantan

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    うずさね(💎🍃)
    なんやかんやあった2人の🍃視点でみるなんやかんやの話

    #うずさね
    spirit

    酒から始まるエトセトラ なんか、おかしい。なんかすっげー、見られてる気がする。いや、気がするなんてレベルじゃない。絶対見られてる。針でも刺さってンのかってくらいには、視線がザクザク俺に刺さっている。

    「宇髄どうかしたかァ」
    「あ いや、別にどうもしねぇけど。」

    と、その視線の持ち主に問いかけても返ってくるのはこればっかり。その癖また暫くするとまたあいつはこっちを見ている。
    宇髄が俺を見てくる理由に心当たりが全くない訳じゃない。たぶん、土曜日の飲み会での出来事のせい…だと思う。
    十中八九そうだろうとは思うが、まさかあいつがそんなことを気にするようなタマか
    噂なんて興味が無くてもそれなりに社会人として対人交流をしていれば耳に入ってくるし、本人が派手好きの性格のせいでプライベートも結構開けっぴろげだからあいつがどういう生活…性活…をしているのかなんて何となくは知っているわけで。
    つまり、世間一般から見た宇髄は遊び人とかプレイボーイとか言われる部類の男なのだ。
    宇髄は同じ男の俺からみても色男だと思う。顔はもちろん整っていて男前だし、身長は高くて、ただ細いだけじゃなくきちんと鍛えられた体にはバランスよく筋肉が着いてスタイルもいい。─だからと言って温泉でボディービルダーのようなムキムキポーズをフルチンでやるのはどうかと思う。ガキじゃねェんだから…そう言えばこの前下の弟が似たようなことをやってたな…そういうガキみてェなとこは玉に瑕だが、まぁ面倒見はいいし世話好きでコミュニケーション能力も高いとくれば、モテるのだろうことくらいは俺でもわかる。
    そんなわけで宇髄はそういうことに慣れている…ハズだ。
    だから俺じゃあるまいし、あいつにとってはこれまでに何度も経験しただろう単なる酒の席での出来事を覚えているなんて思わなかった。


    ずっと肌に刺さっていた視線を煩わしく感じていたが、急にそれを感じなくなると気になってしまうのが人の性。チラリと職員室内を見回せば、図体のデカイあいつはすぐに見つかった。
    煉獄と何かはなしている。何を話しているかまでは聞こえないが、その手には煙草代わりというチュッ〇チャプス。分煙が進む現代社会、もちろんこの職員室は禁煙だ。煙草を吸いたければ1階まで降り、外の喫煙所までいかなくてはいけない。だから代わりにチュッ〇チャプスを食べるようになったとか言っていたか。
    宇髄はすぐにその包みを開けて口に放り込み、いくらか口の中で転がして唾液まみれになった飴玉が唇を割って姿を現す。指先で棒を摘んだまま吸い付いて、舐めて、また口の中に放り込んで遊んでいる。煉獄が行儀が悪いと言うその仕草に、ただ飴を食べているだけの姿に、なぜかあの時を思い出してしまう──







    ヒシヒシと刺さる視線が痛い。酒が回った頭でも見られていることが分かるくらいに、見られている。というか多分、隠す気がないんだろう。
    酒の入ったグラスから視線の主へと目を向けると、案の定蘇芳の瞳がこちらを真っ直ぐに見ていた。

    「なんだァ、うずいィ」

    酒がだいぶ回っているのか体が重く、上半身を起こすのも億劫だ。テーブルに着いた腕を枕代わりに頭を乗せ、怠惰な姿勢で問いかける。
    蘇芳の瞳と見つめ合うこと数秒。顎に手を当てなにか考えていた様子だった宇髄の唇が三日月型に歪む。おもしろいこと思い付いた子供みたいな顔。

    「さーねみチャン」

    ニコニコと楽しそうに笑いながら宇髄が伸ばした指先が触れたのは俺の顎先。
    人差し指で顎を掬われるこの状態には見覚えがある。妹が読んでいた漫画に描いてあった─少女漫画とか言うやつに。
    思い出して、俺も宇髄に倣っていたずらっぽい笑みを浮かべた。

    「なんだァ、ちゅーかァ」
    「んー」

    冗談めかして紡いだ言葉にまともな返事はなかったけれど、代わりに視界が暗くなった。天井の明かりとの間に宇髄の顔があり、長めの白髪が垂れて俺の視界は宇髄一色。

    ──こいつってやっぱ綺麗な顔してんなァ…あ、まつ毛長ェな…

    呑気にそんなことを思っていたら、ふに、と柔らかい感触。どこにって、唇に。俺の唇に残った酒を吸い取った唇はすぐに離れた。ちゅ、と可愛いらしい音をたてて離れた唇は、けれど直ぐに戻ってきて、驚きに漏らした小さな吐息ごと唇で塞がれる。

    ──まさかファーストキスの相手が同僚になるとは。いや、幼い頃にクソ親父にふざけてキスされたことはあるけど、あれは家族…一応家族なのでノーカンだ。

    ファーストキスに夢を見ているわけではないから特に感傷もないが、驚きはあった。まぁ宇髄くらい遊んでいれば酔ってキスすることもあるのかもしれない。所謂キス魔ってやつだろうか。
    どこか他人事のように頭の片隅で考えていたが、どうやらそれが間違いだったらしい。

    「んっ…」

    べろりと唇を舐められて、驚いて緩んだ唇の間を割り入ってくる侵入者。反射的に右手を突っ張ったが、酔っ払いの力なんてたかがしれている。普段ならともかく、ここまで酒が入っているとなるとこの体格差をひっくり返すのは至難の業だった。さっきまで添えるだけだった右手で下顎をがっつりホールドされ顔すら動かせない俺を、宇髄が追いかけてくる。

    「…うずッ、〜〜ッ」

    やめろ、と続くはずだった言葉が続かなかった。唇を塞がれたせいじゃない。伏し目がちに俺を見つめる宇髄の表情が、あまりにも色っぽかったから。そんな俺の一瞬の隙を見逃さない宇髄は手練だった。触れるか触れないかの距離を詰められ、口付けが深くなる。
    歯列を確かめた舌先にそのまま上顎を擽られて鼻に掛かった吐息が勝手に漏れた。縮こまった舌を舌で捕らえられ、押し付けられる舌を押し返そうとしたら逆に絡め取られ、好き勝手に蹂躙される。口の中は宇髄の舌でいっぱいで、唇の端から飲みきれなかった唾液が溢れる。
    粘膜と粘膜が絡む度にくちゅくちゅと湿った粘着質な音が鼓膜に響いて、脳みその奥が痺れる。

    「実弥ちゃん、舌だして…」
    「ぁ、に…」
    「舌。べ、ってしてみ」

    やっと離れた唇に必死で酸素を吸っていると、興奮したように濡れた声が降ってくる。酒のせいか、熱のせいか、それともその両方か─靄のかかった脳みそは言葉を言葉として捉えられない。

    ──宇髄は何を言っているのだろう 何をしたいのだろう

    耳の裏を擽られ、ほら、と促されて宇髄を真似る。

    蘇芳色の瞳がギラリと光って、けれどなぜか宇髄はすぐに微妙そうな表情に早変わり。ため息をついて、呆れているというか、困っているというか。なんか、そういう微妙な顔だ。

    「んっ…ふ、ぅ…んンッ、んッ、ぁ…ッ」

    唇の隙間から差し出した舌先に柔らかい熱が触れる。驚いて引っ込めるより先に捕まった。
    宇髄は俺の舌を唇で挟みながら吸って、柔らかく歯を立ててくる。歯を立てられても痛みは感じないけれど、背筋の中をゾワゾワと得体の知れないナニカが這いずる。何度も繰り返され、そのナニカは背筋から全身に広がって俺の力を奪っていく。その場に崩れ落ちそうになって必死に支えを求め宇髄の胸元に縋ると、宇髄が嬉しそうに笑みを漏らす。

    「ぁ、ッ…」

    ふいに唇以外にも熱が触れた。はだけた浴衣の合わせから侵入した掌が熱い。視線を落とそうとしたのを咎めるように強めに舌を吸われ、意識が散る。
    そんなところを触って何が楽しいのか俺にはわからないけれど、宇髄の大きな掌にそこを揉まれると腰の奥が重たくなる。じわじわと膨らんだ熱が、全身に伝播する。

    「ぅ、ずい…っ、は、ぁ…あっ…」

    自分のものとは思えないほど濡れて、媚びるような声が出た。
    胸筋に張り付いた手はそのままに、顎を固定していた右手がするりと肩に触れ、その手に導かれるままに俺は天を仰いだ。

    「ハッ…はぁ、はぁッ…んッ」

    ゆっくりと唇が離れていく。濡れた唇を繋ぐ銀糸がぷつりと途切れる様に、なんだか惜しいな、と思う。

    ──もっと…

    乱れた呼吸を必死に整えながらそんなことを思っていると、ちゅ、と小さな音をたてて眦に溜まった涙を薄い唇がさらっていった。

    「ん……あッ、んっ…」

    宇髄の色の乗った指先が首筋から胸へと流れる汗を辿る。背筋が粟だって、腹筋が引き攣って、整い切らない呼吸が唇からこぼれ落ちる。

    「実弥ちゃん、」

    見上げた宇髄の額にも汗が滲んでいる。いつも涼し気な顔をしている男が、何かを耐えるように顔を歪めている。
    顎を捕まえられて、目が離せない。たぶん宇髄に掴まれていなくたって、俺はこの瞳から目を逸らせなかった。吸い込まれてしまいそうなほどの、うつくしい蘇芳色の瞳から。

    「…?」
    「…抱いていい」

    床の上に落ちていた右手に一回り大きな掌が重なり、さらりと流れた白髪が俺を閉じ込める。

    ──抱いていい… 抱く 抱くってなんだ……誰を… 俺を…

    まさか、と思って宇髄を見て、失敗したことに気付く。俺の答えを黙って待つ宇髄の瞳は酷く熱っぽくて、引き摺られる様にして落ち着きを取り戻しかけていた体の熱がぶり返す。
    耳が熱い。顔が熱い。心臓がうるさい。
    居たたまれず視線を逸らして、唇を噛む。なんとも言えない気持ちを誤魔化すように口の中に溢れた唾液で飲み下す。


    「…、…」

    チラリと宇髄を目だけで盗み見て、開いた唇からは形になりきらなかった言葉が吐息のまま零れる。

    「いいわけ無いだろう、この馬鹿が。」
    「あいでっ…」

    ゴッ、と重い音ともに視界が開けた───






    押し付けられた唇の柔らかさと、好き勝手に口の中を蹂躙する柔らかな生き物のような赤い舌。熱っぽく俺を見つめる蘇芳の瞳…

    「シナセーーーン数学教えてーー」
    「っ、!あァ」
    「えっ、ごめん忙しかったぁ」

    職員室の扉を景気よく開け放ったのは俺が数学を受け持っている生徒だ。驚いた拍子に思わず反射で凄んでしまい、ばつが悪くなる。

    「別にィ。教室いけ教室ゥ。」

    オドオドする生徒の頭を雑に撫でる俺の背中にほら、また、視線が刺さっている──



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