復縁ごっこ/百々秀 時刻は午後九時を過ぎたところ。リビングの方からは、テレビを見ながら談笑をしている祖父母の楽しげな声が聞こえてくる。
明日は学校も仕事も休みだ。今日は夜更かしをしても問題はない。先日から始まったソシャゲの期間限定イベントに参加するべく、秀はベッドの上に置いてあったスマホを手に手を伸ばした。その瞬間、画面が急に明るくなり、軽快な着信音と共に、バイブ音が静まり返った室内に響いた。
「うわっ! びっくりした……」
突然の出来事に秀は思わず大きな独り言を漏らし、小さく跳ねた心臓に手を当てる。画面を覗き込むと「百々人先輩」の文字が表示されていた。
「はい、もしもし」
『あっ、しゅーくん。久しぶりだね……、急に電話しちゃってごめんね』
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