パラレル・サイドキック不幸中の幸いとは、きっとこの事を言うのだろう。ウルトラマンゼットは、驚きのあまりその大きな歩幅で軽々と3歩半ほど飛び退いた青年を見上げて、そう確信した。
***
その日、ゼットは光の国から遠く離れた宇宙の片隅を渡っていた。目的地は"宇宙の墓場"と呼ばれる怪獣達の処刑場。そこへ向かっている理由は単純だ。彼は目の前の青く巨大な球体越しに、己の前方を行く年下の先輩へと声をかけた。
「あのぉタイガ先輩、オレ達結構移動してきたと思うんですけれども、宇宙の墓場ってのはまだ先なんです……?」
「えーっと、多分半分越えたくらいかな。もしかしてゼット、疲れた?」
ちょっと休憩する?と言いながら振り向いたウルトラマンタイガに、ゼットはぶんぶんと首を横に振る。
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