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    るび@ポイピク

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    るび@ポイピク

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    サービス開始後すぐに書いた気がするセブン良秀が剣創芸極した相手は質問してきた同僚かなという発想を元にしたイサン×良秀かもしれないセブン世界ネタメモ。小説にはならなかった。捏造しかない。
    擬古文のカロリーが高すぎたので地の文は普通の文章になりました。
    いつでも修正される可能性があります

    Initialize***


     同僚に良秀という女性がいる。

     彼女は情報収集を主に目的とするセブンに何故在籍しているのか、リウかどこかにやった方がいいのではないかと誰もが首を傾げるほど好戦的な人物であった。調査対象の人物を生首にしてよこすことも多い。彼女は「脳から情報を取り出せば早い」と主張するが、調査対象の組織は警戒を強めるのが目に見えていたため今後の方針を大きく変えざるを得ず、部長からも厳重注意を言い渡された。その後彼女は荒事が確定している案件で暴れている以外は何をしているのかわからないほどに姿を見かけなくなった。未だこのセブン6課に所属しているらしいことは出勤を知らせる札の色が主張している。いや、単純にこの札をひっくり返していないだけかもしれない。
     ここまで思い返して彼女の事を何も知らないことに思い至る。同じ任務に参加したことは一応あるものの、集団での作戦であったため彼女と直接交流した覚えがない。会話したかどうかも怪しい。朝の鍛錬には参加しないし、朝礼にもいない。食事を摂っているところも見た覚えがなかった。彼女の事で思い出せるものは彼女がいつも吸う煙草の匂い、背負っているのに戦闘では使わない大太刀、一直線に斬り揃えられたボブの髪…そして、剣を振るう時の狂喜を隠さぬ笑顔ぐらいなものだ。見事に誰もが一度会えば覚えているような特徴しか知らぬ。

     さてそんな同僚を思い出したことには一応きっかけがある。彼女とバディを組んで仕事をしていたという同僚が本日未明、全身をバラバラに切り刻まれた姿で発見されたのだ。課内ではこの事件の下手人は良秀だと流言蜚語があちこちでささやかれている。血を浴びて満足そうに笑う彼女の姿を目撃したことがあるものは少なくないため、そんな話が出るのも道理かもしれない。いつかやると思っていた、あいつはこのセブンにはふさわしくない、何の根拠もなく騒ぎ立てる同僚たちを無視して資料を整理しているとガチャリとドアが開く音がしたと共に部屋がしんと静まり返った。―――良秀が執務室にやってきたのだ。こちらを見留めるとつかつかと向かってくる。

     ついに彼女は私の前に立ち、両の眼が射貫く。天敵と出会った被食者の心地だ。
    「こい」
     それだけ言って彼女は執務室から立ち去った。ぽかんとした同僚たちが彼女の去ったドアから次第に私へと視線を移していく。自分が座ったままだとようやく気が付いて、のろのろと今は見えない彼女の背を追った。危ないと思ったらすぐ逃げるんだぞ。部屋を出る瞬間、誰かが呟く声が聞こえた。

    「遅い」
     イライラとした様子で彼女、良秀は廊下の分かれ道の前に立っていた。曲がれば部長の執務室があるため、きっとそこに行くのだろう。
     「部長が私を召さんと?」
     良秀は答えもせずに部屋へと歩を進めた。合っているので答える必要もないという事だろう。彼女は喋るのが億劫なのか、よく言葉を省略したりそもそも喋らなかったりする。
     部長の執務室までたどり着くと良秀はぞんざいにごん、とおそらくノックらしい音を立ててから返事も待たずにドアを開け放った。

    「良秀、ノックの仕方は教えただろう」
    「今そんなこと気にする必要があるのか?」

     一応しただろ、と舌打ちをし、良秀はソファーにどっかり座ると煙草に火をつける。すでにテーブルの上の灰皿は吸い殻が山になっていた。向かいに座る女性、セブン6課部長のウーティスが苦笑しながら私に適当に座るようにと促すので、一礼して良秀の座るソファーの反対の端に恐々座る。

    「いきなり呼び出して悪かったな」
    「いや…」
    「単刀直入に言おう。彼女もその方が好みのようだからね」

    「君たち二人でバディを組んで任務に当たってほしい」

     良秀は話を聞いていたのだろう、何も言わずに紫煙をふうと吐き出した。黙ったままでいる私が不服を感じたと思ったのか、ウーティスは言葉を続けた。

    「残念なことではあるが、以前まで彼女と組んでいたものが死亡した事件は君も聞き及んでいるだろう。彼女が手を下したという噂と共にね…しかし、彼女ではない。事実は直に明らかになるだろう。だから心配することは」

     ない、と言いかけてウーティスは言いよどんだ。軽く咳ばらいをしてから訂正する、と姿勢を正した。

    「彼女と共に携わってほしい任務というのは…『指』に関わることなのだ。故に…『心配が無い』とまでは言えないな。危険な仕事になる。それでも…私は君たちなら成し遂げられると信じている」

     『指』。この都市で裏路地を牛耳る5つの組織の総称。一度対立すればハナでさえ無傷ではいられないだろう。

    「好戦的な彼女とでは恨みを買うだけでは、と思うかもしれないな。しかし彼女はけして『mesure』を誤らない。…どうかね?」
    「当職のいとなみは誰に引継ぐべからむや?」
    「ムルソーとヒースクリフを考えている」
    「ふぅむ。承った」

     ウーティスは少し安堵したようにそうか、とため息交じりに呟いた。これが引継ぎ資料だと段ボールを渡される。かなりずっしりとした量だ。

    「もう少し苦戦するかと思っていたんだ。いや、君が受けてくれてよかった。他に適任がいないからな」
    「当職も知らぬ間にそなたの御目に止まりけり」
    「私はここに来たときから君を評価しているよ」
    「おい」

     ずっと煙草を燻らせていた良秀が声をあげた。

    「俺は足手まといなんていらない」
    「2人以上の行動は規則だといったし、一度納得しただろう。そもそも君は自分の掴んだ情報一つ報告しないじゃあないか。そんな状態でセブンに置いておけると思っているのか?」
    「………」

     良秀が苦虫を噛んだような顔で黙りこくった。彼女にとっては周りが思っているよりも『セブン協会に属していること』は大切なことなのかもしれない。ウーティスは私の方に向き直るとすまんなと軽く頭を下げた。

    「こいつがこんな調子だからな。一緒に任務について報告書をあげてほしい…もちろん君を書記か何かと思っている訳ではない。彼女を理解し互助できる関係になれると見込んでの事だ。…もう一度聞くが、彼女とバディになってもらってよいだろうか?」

     良秀が気難しい性質であることは概ね理解していたため、想像出来ていたことだった。私は問題ない旨を伝えると改めてウーティスは礼をいい、明日からの任務の目的と概要を説明され、その日は終業となった。



     引継ぎの間、隅でずっと暇そうにしていた良秀は部長の執務室を出ると欠伸を噛み殺しながら小さく伸びをした。その背をぼんやり見ていると、不意に彼女が振り返る。そういえば彼女は私を知っているのだろうか?呼びには来たが、ウーティスから写真を見せられていたなら問題ないように思える。もしかしたら私の名すら記憶に留めていないやも知れぬ。

    「…イサン。」
    「知ってる」
    「そなたが私を知っているとは」
    「馬鹿にしてるのか?お前」
     
     なんと、彼女の記憶に私は存在したらしい。いささかの感動を覚える。

    「まさか俺を知らないとか言わないだろうな」
    「うぅむ。その言問いにいらう事は難し。まずそなたとは何ぞやと―――」
    「もういい。黙れ」

     良秀は軽く手を振ってやめろやめろと顔をしかめた。しまった。ジョークのつもりだったが通じなかったかもしれない。もう少し様子を見た方が良かっただろうか?しかし、己のさがなど変えられないものなので、これでうまくいかないならきっと常にうまくいかないだろう。最低限、仕事がうまくいくようにはやっていけるように心がけなければ。そう覚悟して再び彼女を見る。彼女の顔をまっすぐ見たのは本日3度目だ。もう一生分見たのかもしれない。強化施術だろう、赤い瞳がほの暗い廊下で淡く光って見える。彼女は怪訝そうに私の顔を眺めた後、何か思いついたような顔をして少しだけ首を傾げた。
     
    「良秀」

    「よりょしゅく」

     彼女のクスクスという笑い声が聞こえてくる頃には彼女の背は大分離れたところにあった。おそらく、びっくりしたのだと思う。一瞬意識が飛んだ。良秀という人物についての分析や評価は(元々情報が少なすぎてそんなに無かったはずなのだが)根こそぎ薙ぎ払われて再計算を始めた。頭が重い。考えが決壊したダムの水のように勢いを増して荒れ狂っている。よりょしゅくはよろしくと良秀を掛けた言葉遊びであり彼女が私にこのような―――――


     彼女に対する考えは結局その日だけではまとまらず数日布団の中で藻掻く羽目になり、後日彼女ともう少し親しくなった時の笑い草として芽吹くまで心に種として残ることになった。


    ***
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    るび@ポイピク

    MEMO多分シーズン1くらいに書いた7イサ良メモ。いつも通りの捏造。
    いつでも修正されることがあります。
    裏路地の夜***



     裏路地の夜。午前3時13分から午前4時34分の81分間。都市が眠りどこからともなく現れる掃除屋たちに全てが喰いつくされる時間。頭が定めた絶対的な禁忌で守られた、『居住スペース』内に居なければ1級フィクサーといえども命が危ういこの時間付近は路地裏をうろつく奴などいないだろう。私は今、そんな裏路地を午前2時48分に走っている。バディとして一緒に任務に当たる、良秀と共に。

     これというのも調査対象がこちらをかぎつけて追い回されているせいだ。向こうはここら一帯を縄張りとしているから、ここに追い込んで一斉にドアを閉めてしまえば私たちはあっという間に掃除屋の餌食という事だろう、巣へは間に合わず避難を受け付けてくれそうな事務所もこのあたりには、無い。良秀は私より5m程度後ろを走っている。大太刀を担いでいる分遅いというのもあるが、戦闘に長けた彼女が敵を引き付ける殿を請け負っているからだ。彼女が2,3人に囲まれていることは多く、彼女を狙う輩を私が弾くという戦い方が常態と化していた。結果、より多く消耗するのは良秀であり、さらに足は重くなっていく。―――間に合わない。私は何度もこのあたりの地理の情報を照らし合わせたが、あと15分程度で逃げ込めそうな所が見つかる算段が付かなかった。
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