龍「やっぱりトールマンたちはさ、歌や踊りが好きだよな。」
エールを片手に、ほろ酔いのナマリが言った。
眺める先には、旅の詩人がリュートを片手に朗々と歌い、連れの踊り子がカーネーションのようなスカートを翻して踊っている。
トトン、トン、トトン、トン 音楽のリズムに合わせて、ナマリの太い指が机を叩く。
テンポの早いステップに赤いスカートが翻り、腕輪や首飾りがシャンシャンと鈴の音を立てる。
若い踊り子は、ウェーブのかかった黒髪を靡かせて踊る。
ダンダン!と、足を踏み鳴らし、曲は終わった。
酒で気分が大きくなった酒場の客の中には、チップをやるものもいた。
「素敵だったね!」
マルシルが拍手をする。
「なぁ、トールマンたち、お前たちは踊らないのか?」
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