第一印象としてはまず、イケメンだなぁと思った。スタイルもいい。そしてやはり父に顔が似ている。
だが、表情は違った。いかにも人懐っこい、明朗闊達な笑顔だが、緊張のためか、どこか不自然に固まっていた。父ならば、そんな隙は見せないだろう。あの人はいつだって、腹の底では何を考えているのか誰にも悟らせない。実の息子にさえ。
「はじめまして。今日からしばらくお世話になります、足利直冬と申します。……あはは。急に押しかけることになっちゃってすみません。できるだけ、迷惑かけないようにするので」
義詮は、ふいっと目を逸らし、「いえ、気にしないで」と言葉少なに首を横に振った。
「取り敢えず、立ち話もなんですし、上がって。あと荷物預かります。部屋用意してるのでそっちに」
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