息抜き「……」
フィリスの結われていない長い癖毛の銀髪が風に乗って揺れる。一見質量があるように見えるそれは、けれど薄いレースのカーテンの様にサラサラと陽の光を7色に反射して靡くのだ。
「………」
俺はフィリスの髪が好きだった。何よりもよく手入れされており、手触りがとても良いのだ。冬になると少し毛質が変わるところも愛おしい。
「…アイリ、恥ずかしい…」
「あぁ、すまん」
俺は小さく抗議してくるフィリスが愛おしくなってその綺麗な銀髪を撫でた。想像と違わぬ心地のいい触り心地にうっとりしていると、再びフィリスが声をあげた。
「…髪、じゃなくて…頭…撫でて欲しい…」
先程よりも頬を赤く染めながら、目を伏せて遠慮がちに強請ってきたフィリスに、俺は飛びつくように頭を抱え込み、わしゃわしゃと耳ごと撫でてやった。ふわりとフィリスが愛用している、優しい甘さのある独特な香水が香った。これも俺が選んだものだ。
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