ぼくらはみんな浮かれてる② 同室が暗い。
雷蔵が目を覚ませば、三郎が部屋の隅でどんよりとした顔で膝を抱えていた。身支度はとうに整えているが、どことなしに普段より崩れている。
「おはよう三郎。
僕の顔でうっとうしい顔をしないでくれよ」
「すまない雷蔵」
「なんだい、昨日は兵助の部屋に行くんだって浮かれて出ていったのに。
フラれたのかい?」
あくびを零しながら布団を出る。なんでも勘右衛門が今夜は部屋を留守にするから、兵助が一人になるので行ってやれよなんて声を掛けられたらしい。これまで散々に三郎を牽制してたというのに、自分に恋人ができた途端現金なものだなと思う。ただ恋人ができたことで考え方が変わることはあるのだろう。
「フラれ……あれは、やっぱりフラれたのか」
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