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    cafelatte261

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    cafelatte261

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    昔書いたもの供養

    転生夏五
    夏→壊れたメンヘラ(記憶あり)
    五→巻き込まれパンピー(記憶あり)
    キャラ崩壊注意

    宿縁「猿殺す猿殺す猿殺す猿殺す猿殺す猿殺す猿殺す」
    ああ、また始まった。彼はこめかみに親指を当てて唸り続けている。見慣れた光景とはいえ、いい加減宥め役の僕はうんざりだ。医者から貰った薬、足りなかったのかな。
    「はいはーい傑くんステイステイ。ほら、いないいなーい、顔面国宝級絶世のグッドルッキングガイの五条悟がバァ!!」
    「キャッキャッ」
    「ふぅ、何とかなった...」
    「世界中の猿がいないいなーい!私と悟以外いないいなーい!!」
    「バァッ!!!!!」
    前言撤回。もうダメだ。知能が5歳児レベルまで落ちている。今すぐ幼稚園か保育園からやり直させるべきだろうが、生憎成人を過ぎた大人を入れてくれるような施設は限られている。例えば、精神病棟とか良いかもしれない。そうだ、早速知り合いの医者の卵に聞いてみるとしよう。

    「もしもし、硝子?」
    『おかけになった電話番号は、現在使われておりません。二度とかけてこないでくださいというかさっさと切れバカヤロー』
    「いや聞けよ。また傑が壊れたんだけどさ、どうにかしてくんない?」
    『お前が聞けよ。あいつは何回壊れたら気が済むんだよ。完全な不良品じゃねえか神様に返品してもらいな』
    「僕は人殺しになりたくない」
    『じゃあ動かなくなるまで付き合ってやれ。正直もう関わりたくねーんだわ。勝手に乳くりあうなり仲違いでもしてくれ』
    「は〜?!!血も涙もねぇじゃん悪魔!!それでも同期かよ!!」
    『都合のいい時だけ前世のこと持ち出してくるのやめ...』
    「誰と話してるの?」

    気付けば、さっきまで俯いていた傑が肩から覗いてきて携帯にぴったり耳を寄せていた。傑の熱い吐息が耳にかかって、ゾワッとする。

    「タスケテ...」
    「女の人の声がするね。もしかして彼女?でも悟の周りに群がる雌猿は全て把握してあるはずだしまさか悟にそんな心を許せる相手が私以外にいるとも思えないからということは硝子かな?やっほー!元気にしてる?私は毎日悟と一緒で元気だよ!!今度一緒に遊びに行こうよ。お祭りとか行きたいな。海でバーベキューも良いよね。七海と灰原も呼んでさ、花火もしようよ!で、夜はどっかのコテージに泊まって......あっ、もちろん私と悟は同じ部屋ね。熱い夜を過ごそうね、悟♡」
    『ピッ』

    ............。これは十中八九着拒されたな。今度手土産を持って彼女の家を訪ねよう。どうにか傑にバレないように。
    当の傑と言えば、切れちゃった...としゅんと項垂れている。どうして切られちゃったと思う?自分の胸に手を当てて考えてみてね。そしたら相手の気持ちを考えることが出来るかもしれないよ☆これが、今日の五条先生の授業の大事なところでした。えっ、お前が言うなって?僕は良いの、ほぼ分かってやってるから。尚更タチが悪いって?まさか、ソクラテスの無知の知然り、どう考えても自覚してない方がタチ悪いでしょ。だからね、誰かが教えてあげなきゃいけないの。世界中の非術師を殺しちゃったらどうなるのか。罪のない人々を殺して、殺された人やその家族がどう思うのか。そして、ちゃんと自分の心に向き合おうね。

    「硝子、私と悟がラブラブ過ぎたから嫉妬しちゃったのかな」
    「えっ、ラブラブ?」

    ラブラブ、イズ、何。あまりに突飛な発言に思考がフリーズする。どんだけ感性がポジティブにメーター振り切ってんだよ。そんなポジティブ思考なら虐殺とかするなよ。むしろ一周してプラス思考になったと考えれば納得出来るかも......は?ネガティブなプラス思考ってなんだよ。

    「ほら、私たち構内でも有名なバカップルじゃない?」
    「全くの初耳」
    「大学だけじゃなくて、ツイッターでカップルアカウント作ってるんだけど、最近フォロワー10万人超えて世界中でも認知されてきてるんだよね」
    「何してんのお前。通りで最近妙に知らん奴から声かけられると思ったわ」
    「ユーチューブも開設したよ」
    「ぜってー出ねえからな!??」

    なんで!?すっごいお金になるんだよ!??低俗な猿共の娯楽として消費されるのは我慢ならないが、それで私と悟の愛を世界中に周知のものとすると共に猿共から搾取できると思えば一石二鳥だと思わないかい?2人でカップルユーチューバー界の神になろう!! と捲し立てる傑を横目に、知らぬ間にツイッターで開設されていたカップル垢を見つけて愕然とする。出来れば嘘であって欲しかった。開設された時期は俺と再会した時ら辺。ラブラブな生活を送っている日常の妄言ツイートと、メディア欄にはいつ撮られていたのかも分からない寝顔写真が何枚もあげられている。これ真面目に訴えれば裁判で勝てんじゃね?しないけど。
    ユーチューブに関しては、まあお金になるなら考えなくもないが、しかしそれ以上にすぐさま既成事実を作られるのが目に見えている。第1回目の放送で結婚届出しに行くつもりだろ。そうなったら最終回は離婚届出してみたにしよう。
    いやそもそもの話、僕達は付き合ってない。お前が付き合っていると主張しているだけであって、恋人というものは双方の同意の元で成立するんじゃないのか。
    確かに付き合ってはいたさ。でもそれは前世での、しかもごく限られた青春時代の話だ。今世には一切関わりのない話。五条悟と同じ身体をもって生を受け、同じ名前を与えられはしたが、今は全く呪力を持たないただのホモ・サピエンスである。傑があんなに嫌ってやまない猿なのだ。だからまあ、万が一再会しても嫌悪を表すか、興味すら抱かないだろうとタカをくくっていたのだが。

    「何、悟。あんなに毎晩愛し合ってるのにまだ足りなかった?」
    「毎晩って......おやすみのメールのこと?お前が送らなきゃ猿殺すって言うから送ってるだけだが?」
    「ほぼセックスでしょ」
    「なんだよその認知バイアス怖えよ!!」

    セックスの定義ってそんなに広いの?メールなんて一次的接触すら交わさないのに。

    「そもそもなんでさぁ、僕に拘るの?いい加減教えてよ」
    前世では僕のこと置いてったくせに、全くもって勝手な男だ。こんな風に女々しく引き摺ってしまっているあたり、前世にこだわっているのは僕の方なのかもしれない。
    「ふふっ、どうしてだと思う?」
    「分からないから聞いてるんだけど」
    「え〜うそぉ。こんなに簡単なことなのに」
    傑は大袈裟に手を広げて肩を竦めくつくつと笑うと、ずいっと僕の顔間近に顔を突き合わせてきた。さっきからパーソナルスペースがバグりっぱなしだ。何を考えているのか分からない琥珀色の瞳が酷く不気味で、思わず目を逸らした。
    「それはね、君が五条悟だからさ」
    「だからもうそいつはいないって」
    「いないいなーい、バァ!!ほら、やっぱり君じゃないか」
    俺の顔を手のひらで包み傑はケラケラと笑っている。百鬼夜行時もハイテンション&ハイパーMAXでウザかったのだが、今世ではさらにそれを上回っていた。あまりに会話にならないので、そろそろ表情筋が死にそうだ。ここまで来ると、処方された薬以外の違法薬物も使っているんじゃないか、心配にすらなってくる。

    「傑、僕のこと好きじゃないじゃん」
    「えっ、こんなにも壊したいくらいに愛してるのに!?」
    「それは愛じゃないよ。行き過ぎた執着心だ。でなきゃお前」
    あの時、なんで置いてったの。
    そう言葉にする前に、傑の瞳が濁った闇のように蕩けて、僕の額にキスを落とした。
    「愛は綺麗なものだけじゃないんだよ、悟。前にもっと君に教えてあげたら良かった。それがどんなに醜くても、一方的なものであっても、相手を想う気持ちがあればそれは愛なんだ」
    まるでストーカーの理論だ。どんな綺麗事を並べようと、受け取り手が迷惑だと感じたのならそれはストーカー紛いの犯罪者に成り下がってしまうのに、と傑に抱き締められながらぼんやり思う。
    しかし、どうしてか反論する気が起きないのは、自分も負い目を感じているからだろうか。
    「物は言いようだな」
    「純愛だよ」
    「うるせぇよ」

    傑がこうなってしまったのも、未だに僕が傑から離れられないのも、宿縁なのかもしれない。
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