ナバ組とアーキャス噺(遭難編)①
★「…推進力が足りん。今のままでは重力から逃れることはできないか…」
🍀「久しぶり」
★「おわああああ!!」
🍀「ちょっと!危ないから急に撃たないでよ!」
★「コックピットをこじ開けるな!余裕で全弾躱すな!!」
🍀「こじ開けてないよ。ちょっとハッキングしただけ。あとアシュレイ、射撃下手だね」
★「貴様という奴は……!」
🍀「落ち着いてってば。ボクも遭難しちゃったみたい。とりあえず外に出ない?」
〜数分後〜
🍀「全く知らない場所かも…ねえ、ここって宇宙のどの辺だと思う?」
★「知らん、俺に聞くな」
🍀「大佐クラスの軍人なのにどこかも分からない場所で戦ってたの?」
★「お前が言うな。そして煽るのをやめろ」
②
★「辺り一面が砂か。砂漠だろうな、ここは」
🍀「オアシスとかないのかなあ。機体に戻る?」
★「俺の機体のレーダーはやられてる。お前の手でな」
🍀「そうなの。あれ命中してたんだ。やったね」
★「嬉しそうで何よりだ。ところで貴様の頭に鉛玉を数発ほどブチ込んでもいいだろうか?」
③
🍀「機体、持ってきたよ」
★「俺の乗機を引きずるなこのたわけ」
🍀「やだ。ボクの機体に傷をつけたでしょ」
★「…戦闘中だぞ。当たり前だろう」
🍀「あんなに塗装が剥がれちゃってさ、塗り直すの大変なんだよ」
★「まさか機体の整備を自分でやっているのか」
🍀「当たり前。ボクの機体なんだし」
★「……」
🍀「それっ」
★「…おい!?扱いが乱暴すぎるぞ!振りまわすな!」
🍀「…ふふっ」
★「楽しむなァ!」
④
🏰「…こんばんは」
🍀「うわあ!」
★「ぬッ…なんだ貴様は」
🏰「私はキャッスル。この砂漠を彷徨う者です」
★「凄い頭だな。さては原住民族か」
🍀「言い方」
🏰「随分と賑やかなお客人で。遠くからお声が聞こえていましたよ」
🍀「つまりうるさいって事だね。アシュレイが」
★「貴様だろうが」
🏰「(仲が良いなあ…)見たところオアシスを探しているようですね。案内しましょう」
★「何故俺たちの目的が分かる…?」
🏰「聞こえてたんですよ。あまりにも大きすぎる声が」
⑤
🍀「助かった…!」
★「恩に着るぞ。城」
🏰「キャッスルです」
🍀「…ところでキャッスルさんは何故この砂漠に?」
🏰「探し物がありましてね。一朝一夕では見つからないものなのでお気になさらず」
★「そうか…。ん?おい、あれはなんだ?」
🍀「わ、綺麗な青い布…でもボロボロだ」
🏰「探し物が増えましたね。お手伝いしていただけますか?」
★「唐突すぎやしないか」
⑥
🍀「あっ!人だ…!」
🏰「大丈夫ですか」
★「あの城頭、あんなに素早く動けたのか」
🍀「見るところが違うと思うよ…」
🧚♂️「うう…」
🏰「良かった…。少し疲れ気味のようですね。こんな所で眠ってはいけませんよ」
🍀「無事みたいだ…良かった。…すごく優しそうな顔だね。あの人にとって大事な人なのかな」
★「……」
🍀「うわ居心地悪そう」
★「ここは俺のような軍人が居て良い場所ではない。オアシスに戻る」
🍀「でも迷子になっちゃうんじゃない?ほら大人しくしててよ」
★「騒げない空気だからと煽るな…!」
🏰「あの。少々お静かにしていただけませんか??」
🍀★「「大変申し訳ありませんでした」」
⑦
🧚♂️「…助けていただきありがとうございます。私の名はアーク。深森の国の王子です」
🍀「王子…!?」
★「王政はもはや俺たちの星にはない。知らん国だな。となると随分と遠い惑星まで来てしまったようだ」
🧚♂️「あの…」
🏰「この方たちは宇宙よりお越しになったようなのです。あの鉄の巨人に乗って」
🍀「鉄の巨人…ロボットとかはないのかあ…」
★「未開の星か?おい、ノータイムで殴るなラムセ!」
🍀「王子様の前でちょっと口が悪いんじゃないかな」
★「分かったから殴るな!すまなかった」
🧚♂️「まあまあ…落ち着いて下さい。王子とはいえ今は放浪中ですから…キャッスルさんも杖を置いてください…」
🏰「……」
⑧
🧚♂️「凄い!なんて洗練された造りなんでしょう…!」
🍀「なんだかこっちが照れちゃうね」
★「あまり近づき過ぎると危険だ。気をつけろ」
🍀「良かったら乗ってみますか?」
★「無視するな」
🏰「あの、旅のお方、それは安全なのでしょうか…」
🍀「機体を寝かせておけば大丈夫。キャッスルさんもどうですか?」
🏰「興味が無いと言えば嘘になりますね…」
🍀「良かった〜!」
★「おい。取り込み中のところ悪いな。貴様の機体が飛んでいるぞ」
🍀「嘘!?あっ、うわ〜…すごいね…」
★「嘘じゃないし放心もするな。早く止めに行くぞ」
⑨
🧚♂️「どうしましょう…なんか動いてしまいました…!」
★「おい、落ち着け。とりあえず両手を離せ」
🧚♂️「両手を…大丈夫でしょうか…」
★「早くやれ」
🧚♂️「…はい!」
★「よーし良いぞ。衝撃があるだろうからしっかり席につかまっていろ」
🍀「おお…姫抱きしてる…」
★「聴こえてるぞラムセ。そんなんじゃない。ッ…!?」
🏰「いけない。バランスが…!」
🍀「ダメだ、機体の推進力が弱まりすぎてる。キャッスルさん、どこに行くんです!?早く逃げて!」
⑩
🏰「私は国を護るものでしたからね。これくらいはできますよ」
🍀「…大きい」
★「巨大化したのか…!?お前はなんなんだ…」
🧚♂️「ええと、キャッスルさんは砂の兵士なんです。辺りの砂に紛れ込むこともできますし、こうやって取り込む事もできるみたいですね」
★「それなら早くやってくれ…」
🏰「これをやると自我が薄まって危ないんですよ。降ろしますね」
〜数分後〜
🧚♂️「私の不手際ですみませんでした…お二方も…」
🍀「いえ、ボクが軽率でした。まさか動くとは思わなくて…」
🧚♂️「そんな…どうも私の魔法と干渉してしまったようで…ごめんなさい…」
🏰「どうしたんですか?頭が痛いのでしょうか」
★「本当になんなんだ、砂の巨人、魔法…?」
🏰「まあこういう世界もあるんですよ。少しお休みになってはいかがですか」
★「うむ…」
⑪
🍀「あ!通信!通信が入ってる!」
★「俺の方にも来た。あれか、機体が無茶な動きをしていたから警戒信号でも出たんだろうな」
🍀「もうすぐ友軍が来る…!アークさん、キャッスルさん、本当にありがとうございます!」
🏰「無事に帰れそうで何よりです」
🧚♂️「もう行ってしまわれるのですね…二度も助けていただきありがとうございました…!」
★「バツの悪い顔をしているな。貴様にしては珍しい」
🍀「…あれはボクが悪いし」
🏰「…そう気を落とさないで下さい。別れの時なんですから。ほら、これをどうぞ」
🍀「手から花が…!?うわぁ、ありがとうございます…」
🏰「あなたにも」
★「…フン。受け取ってやらんこともない」
🏰「顔が赤いですよ」
🍀「照れてるね」
🧚♂️「照れてますね…」
★「うるさァい!一々言わんで良いわ!」
⑫
🧚♂️「行ってしまわれた…」
🏰「初めはどうかと思いましたが、やはり出会いは良いものですね。そのぶん、別れも惜しいですが」
🧚♂️「あの方達はまた宇宙で戦うのでしょうか」
🏰「それが彼らの生き方なんでしょうから。また逢えることを願いましょう」
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🍀「うん、良い出来。すごく綺麗だから押し花にしちゃったけどまだ瑞々しいね…。本当に良い人たちだったなあ…」
「おっと、招集かな…!こちらイア=ラムセ。デッキまで急ぎます!」
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★「ふん、これでいいだろう」
「プリザーブドフラワーですか。器用なのですね」
★「うお!貴様いつから見ていた!」
「その花をしげしげと眺められているところから…」
★「忘れろ。上官命令だ」
「…ハイ」
★「ところで何用か」
「招集が掛かっていますよ」
★「それを早く言えェ!!」
「すみませんでしたァ!!!」
⑬
🏰「ああ。王子もまた行ってしまわれた。森から帰ってくるまでまた一人で歩き続けるとしましょうか…」
🏰「今日は星が綺麗ですね。慰めには丁度良い…
ん??」
★「うおぉおおお!!墜ちる!墜ちるぞ!!どけラムセェ!!?」
🍀「ちょっと!そっちこそ脚引っ掛けるのやめてよ!!あっこれダメそう」
★「諦めるなァーッッ!!!」
🏰「また星が落ちて来ましたね…お元気そうで何よりです」
─𝑭𝒊𝒏.