メロスナに(強制的に)看病されるお話 薬の入ったコップを差し出され、思わず感情を隠すことなく顔を顰めてしまった。
煎じたてのそれはお世辞にも美味しそうには思えない毒々しい色が主張して、揺れる湯気から香る独特の匂いが鼻腔を擽るのはまるで私を飲んでと媚びて擦り寄ってくるよう。
現実逃避をするためゆっくり視線を逸らし一向に受け取ろうとしない私と、コップを突き出したまま一歩も引かないスナフキン。
すっかり日が沈み動物たちも住処に帰った森は静寂に包まれていて、焚き火の灯りだけがザワザワと騒がしく影を揺らめかせている。
お互い口を開くこともせず目も合わせないこの硬直状態になってから、どれほどの時間が経ったのだろうか。
「……〇〇」
先に沈黙に耐えられなくなったのは、スナフキンだった。
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