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    hogege8836

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    hogege8836

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    お相手メロスナちゃん。
    生まれたてホヤホヤでネタバレ怖いからここいてね。
    ネタバレ要素はないはずだ……。
    口調全然掴めてないんご。

    メロスナに(強制的に)看病されるお話 薬の入ったコップを差し出され、思わず感情を隠すことなく顔を顰めてしまった。
     煎じたてのそれはお世辞にも美味しそうには思えない毒々しい色が主張して、揺れる湯気から香る独特の匂いが鼻腔を擽るのはまるで私を飲んでと媚びて擦り寄ってくるよう。
     
     現実逃避をするためゆっくり視線を逸らし一向に受け取ろうとしない私と、コップを突き出したまま一歩も引かないスナフキン。
     すっかり日が沈み動物たちも住処に帰った森は静寂に包まれていて、焚き火の灯りだけがザワザワと騒がしく影を揺らめかせている。
     お互い口を開くこともせず目も合わせないこの硬直状態になってから、どれほどの時間が経ったのだろうか。


    「……〇〇」


     先に沈黙に耐えられなくなったのは、スナフキンだった。
     優しく、でもどこか威圧的に名を呼ばれ思わず身がすくんでしまうが、それを悟られる訳にはいない。
     子どものように口をへの字に曲げながら拒絶を貫く態度に、スナフキンは呆れた様に深々と溜息をついた。


    「いい加減、飲まないか」
    「…………やだ」

     
     長い長い沈黙の末、ようやく発せた一言がやだとは。
     これじゃあほんとに幼子のワガママじゃないかと我ながら呆れる。
     
     でもここまで嫌がるのにもちゃんとした理由があるのだ。
     スナフキンが薬草から煎じてくれた痛み止めは効果が高い分、それはそれは苦いのだ。
     昔一度だけ飲んだことがあるが、あまりの苦さに地面をのた打ちまわったのが今でも記憶にこびりついてる。
     頭では飲むべきだと分かっているのだが、どうしても身体が嫌だと駄々を捏ねてしまう。

     
    「なぜだい」
    「……苦いから」
    「そんな理由ではダメだな。旅先でこんな言葉を聞いたよ、"良薬口に苦し"って」
    「……”薬も過ぎれば毒となる”っていうのもあるよ」
    「そもそも飲んでないだろ」


     ああ言えばこう言う。
     グダグダと中身の無い論争でどうにかして薬から意識を遠ざけられないかと邪心したが、どうやらスナフキンにはすべてお見通しのようで。
     容赦も情けもない返しを受け地面にのの字を書いていじける私に、スナフキンから今日何度目かのため息が落とされる。
     

    「飲まないと、どんどん痛みが悪化するよ」


     それ、と指を差した先にあるのは、力無く無造作に投げ出された私の右脚。
     包帯で添え木を固定された私の足首からは、彼の言う通りズキズキとした痛みと熱が帯び始めていた。 
     もはやここまで痛むと冷やすだけでは応急処置にもならない。
     薬湯に頼るしかない現実にぐうの音も出ない私は、視線を気まずそうに宙にさ迷わせることしかできなかった。
     
     またも黙秘を貫く私の横で、焚き火が気まずそうにパチパチと木を爆ぜさせる。
     埒が明かないとでも悟ったのか。スナフキンはコップを1度足元に置くと、マッチを取りだし咥えていた煙草に火をつけた。
     

    「まったく……そもそも子どもたちを庇って崖から落ちるなんて、お人好しにもほどがあるよ」
    「……何も言い返せません」
    「こうして怪我したら元も子もないじゃないか」
    「おっしゃる通りです……」
     

     茨のように刺々しい小言がノーガード状態の心に突き刺さる。
     今回ばかりは返す言葉もない。
     そう、全ては自分の過信が招いた事故が原因なのだ。

     森の中で崖から落ちそうになっている森の子どもたちを見つけて、そこで私は助けを呼びに行かず1人で向かったのが悪かった。
     全員を助けた安心感で自分が足を滑らせて落ちるなんて、慢心もいいところだ。
     子どもたちがスナフキンを呼びに行かなかったら私は死んでいたかもしれない。
     なにより、目を覚ましたときに見えたスナフキンのあの顔は、二度と忘れないだろう。

     
    「……でも、足の骨折だけですんだのは不幸中の幸いだね」
    「ねーよかったよかった」
    「……"よかった"」
    「アッナンデモナイデス」


     しまった、口が滑った。
     ワンオクターブ低くなった声と共にギロリと鋭い視線を送られ、思わず反射的に敬語を使ってしまった。
     何もよくねえよ、という副音声が聴こえた気がしたが気の所為ということにしておこう。
     煙草の煙を吐きながら無言の圧で睨み続ける目線に気づかないフリをして、あら大変火が消えそうだーなんてわざとらしく焚き火に木をくべていく。


    「君、今熱あるだろ」


     ポツリと呟かれた言葉に、慌ただしく動かしていた手が止まる。
     少し熱っぽくて気怠いだけで、決して熱が出ているわけじゃないと自分に言い聞かせていたのだが……。どうやら無駄骨におわってしまったようだ。
     口ごもらせて肯定を示す私に、スナフキンは幼子を宥めるような、柔らかい声色とゆっくりした口調で私を説得してくる。
     
     
    「そんなに腫れ上がっていれば、熱も相当出てるはずだ」
    「うぅ……」
    「だからはい。これを飲めば、楽になるよ」


     飴と鞭の使い分けが上手いというか、心理戦に長けているというか。
     眉を八の字に下げて目を覗き込まれてしまえば、私がその顔に弱いのを知っているだろうに。
     痛みは引かないし、スナフキンがわざわざ作ってくれたし……とやさぐれていた心がスナフキンの諭しに傾き始める。
     
     だがしかし、そう簡単に「じゃあ飲みます」と素直になれないのが私の悪い所。
     むくむくと心の隅で「でも苦いよ」と悪魔が囁いてきては、私の意思を簡単に崩してしまう。
     ……苦いよなぁ、不味いよなぁ……いやだなぁ……。
     しばらくあーだこーだと頭の中で葛藤と言い訳を繰り返し、私が出した答えは――。
     
     
     
    「……うん、あとで飲む」

     

     後まわしである。

     いや、分かってるよ結局後まわしは何も変わらないし状況を悪化させるよでもまだ心の準備か出来てないしそれに飲まないとは言ってないし覚悟が決まればちゃんと飲むよ……覚悟が決まれば。

     誰に聞かれる訳でもない言い訳を脳内で垂れ流し、これで問題は解決したと言わんばかりにスナフキンに笑顔を向けた。
     が、これがいけなかった。
     捨てられた子犬のような表情が一瞬で引っ込み、その顔はだんだんと険しく不機嫌そうに歪められていく。
     
     

    「そう、そうかい。君がそう出るなら、僕にも考えがある」

     
     淡々とした声でスナフキンはそう宣言すると、煙草パイプをゆっくり地面に置いた。
     代わりに放置されていたコップを手に取り、ジリジリと私の方に距離を詰めてくる。
     木を背もたれにしていた私に後退る道が残っている訳はなく、迫り来る嫌な予感を警戒するしかない。

     逃げたくても逃げられない状況。それをとっくに理解しているだろうスナフキンはあろうことか逃がさないとばかりに私の太もも部分に馬乗りになってきた。
     慌てふためく両手を片手で一気に拘束され頭上にひっぱりあげられ、いとも簡単に木に押し付けられてしまう。
     これは、これは本気でまずいんじゃないか。


    「ごめんすいませんでしたちゃんと飲める自分で飲むだからっ……」
    「もう遅い」

     
     言葉の通り、私の必死な謝罪がスナフキンの耳に入るには遅すぎた。
     お前が悪いとでも言いたげな据わった目で見下ろしながら、自分の口に向かってコップを傾けていく。
     中の薬が重力に逆らうこと無く口の中に消えていくのを見届け、ある程度の量が入った所で口から離して地面に置き、そして――、
     

    「んっんん、っむぐぅ……」

     
     触れ合った上唇をやんわりと噛まれ、腰や背中にゾクゾクしたものが駆けていく。
     ぬるりと侵入してきた舌と直に伝わる温もりに思わず力が抜けたその瞬間――、口中に一気に雪崩込んできたのは想像以上の苦味。
     反射的に吐き出そうと身をよじるが、そうするのが分かっていたかのようにスナフキンがより深く舌を絡みつかせてきて離れられない。


    「んっ、ぅ……ふ、ぁ……っ」
     


     声をくぐもらせながら掴まれた手首に力を込めても、舐る舌が離れていく気配はない。
     むしろゆっくり体重をかけてきて少しずつ私を押し倒し、一滴も残さないと言わんばかりに薬を私の口内に注ぎ込んでくる。
     
     歯列をなぞられ口蓋を辿るように嬲られ次第に息苦しさを覚えた体は、酸素を得るため私の意思関係なく喉を動かしはじめた。
     ぬるくなった液体が着々と食道を伝っていく感覚を押し退けて、徐々に快感がせり上がる。
     そうしてごくりと全てを飲み干した嚥下の音が合図となり、ようやく深く重なっていた唇が名残惜しそうに離れていった。
     

    「んっ、いいこだね」


     咽せながら肩で息をする私と違い、スナフキンは1つ吐息を漏らしただけで息を切らしていない。それどころか、先ほどとは正反対な少し熱の篭った目で頭を撫でてきた。
     心臓が慌ただしく鼓動を打っていのは、酸欠だからかそれとも今の行為が原因か。

     なにはともあれ、(暴力的ではあるが)スナフキンのおかげで薬は飲めた。
     飲み終わった安心感からか、何から何まで迷惑をかけてしまった罪悪感が今頃押し寄せてくる。
     ムーミントロールも心配しているだろうし、明日の朝には戻れるといいなぁ。 
     谷に戻ったら詫びに何かご馳走しようと意気込み、乱れた姿勢を正そうと顔を上げた。
     
     ……あれ、おかしいな
     ……手の拘束を解いてくれないぞ
      
     
    「スナフキン……あの、飲めたよ」


     だから手を離してほしいと、暗に伝える形で恐る恐る話しかける。
     それを聞いたスナフキンは無邪気そうにニッコリと笑うと、再度コップを片手に持ち直した。
     
     
    「あと3回くらいで飲み終わるよ」


     見せつけるように目の前で揺らされたコップの中で、半分以上残っていた薬が水面でチャプンと波立つ。
     さんかいいま、3回って言った
     
     ……それ、全部飲むの
     サラリと伝えられた地獄の宣言に、顔の血の気が引いて行くのがわかる。
     口元を引き攣らせながら自分で飲めると呟いたはずの言葉は、被せるように言い放ったスナフキンの言葉に掻き消された。


    「さぁ、〇〇。頑張ろうね」


     視線を捉えたまま、スナフキンは笑みを深めるとゆっくりとコップを口元に傾けた。


     

     ――拝啓、未来の私へ。

     これを教訓にして、もっと慎重になってください。
     薬は、どんなに嫌でも我儘をいわず飲んでください。
     スナフキンを、怒らせないようにしてください。


     

    「次はこれだけじゃ済まさないからね」と、それはそれは良い笑顔で囁かれましたので。



     

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