婚約指輪 深々と雪の降る夜、こんな骨の髄まで冷え切ってしまうような寒い夜はきっとアレがやってくる。どんなに戸締りをしっかりしていても、魔除けの類を山程飾ってもアレは何処からともなく侵入して、気が付けば俺の懐の中に入り込んでいるのだ。
『カツキ、俺の湯たんぽになって』
ほら、こんな風に。
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『また出やがったな、クソガキめ!』
俺の苦情なんてひとつも気にせず赤子のように俺の胸に吸い付くド派手な紅白頭のガキの首根っこを掴んで引き剥がそうとするけど、コレが大層な馬鹿力で大人の俺でも骨が折れる。オマケにコイツの魔性を前に俺は無力、なにせクソガキは吸血鬼で俺は人狼、最初からコイツが望めば俺はコイツの眷属になると決まっている関係なのだ、
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