薫零⬅渉『零が……零が…盗られる……』
『…渉……?』
『…そうです……!まずはその綺麗なお顔と体を傷だらけにしましょう!』
『…渉……!?』
『そうすれば、盗る人も減るはず…!!』
『やめろ、渉っ…!!』
***
「零くん。零くん!零くん起きて!」
体を揺すられハッと目が覚め、夢と現実の区別がつかないまま咄嗟に身を守る仕草をしてしまった。
大袈裟に反応する我輩を見て薫くんが心配そうな顔で覗き込んでくる。
そうじゃ…、今は次の仕事先へバスで移動中じゃった…。
「大丈夫…?うなされたけど……、嫌な夢でも見た…?」
「…ぁ…すまん……、ちょっと昔の夢を見ただけじゃよ」
そう…、昔の夢。
元彼の日々樹くんに殴られ、犯され、最後は刃物で皮膚に名前を掘られたあの日の夢。
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