三馬鹿と苦労人、その前日譚。冒険者ギルドの窓口は、朝からひどく混み合っていた。
依頼を受ける者、報告をする者、次の仕事を探す者――さまざまな目的を持った冒険者たちがひしめき合い、無数の声が飛び交っている。依頼書が並ぶ掲示板の前には人だかりができ、奥のカウンターではギルド職員が手際よく書類を処理していた。
その喧騒の中、一人の男がカウンターの前で腕を組み、じっと依頼書を見つめている。
ペリード。
屈強な体躯を持つ戦士で、鍛え上げられた筋肉は鎧越しでもわかるほどだった。黄緑の髪を後ろへ撫でつけ、顎に手を当てながら、慎重に依頼を選んでいる。
「うーん……。」
低く唸る声。慎重に難易度や報酬を見極めるその姿は、経験豊富な冒険者そのものだった。
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