Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐟
    POIPOI 372

    masasi9991

    ☆quiet follow

    ハロウィンにいちゃいちゃするデググラ

    ##デググラ

    おかしがあるからいたずらできない


     ビレッジを埋め尽くす大量のお菓子。聞いたところによると、お城の方までこんな状況らしい。おかげで今年のハロウィンは、大人も子どもも全員もれなく、お菓子のプレゼントを受け取ることができた。いたずらをしても、いたずらをしなくても。
    「これはこれで結構疲れるな」
     弟子たちや近所の子どもたちにお菓子を配り終えて一息をついたころには、もう夜も深くなっていた。一階のロックやロッタナの部屋は例年以上にお菓子でいっぱいだ。その上、前途の通り大人の分もきっちりあるから、おれとデグダスの二人分、リビングや台所にまで置かれている。
     こうなるとどこに行っても甘い匂いがしている気がする。さすがに寝室には、お菓子は置いてないはずなんだが。
    「楽しかったなあ」
     パジャマに着替えたデグダスは、まだまだ興奮が醒めないらしく、ベッドにも入らずソワソワしている。窓の戸締まりを確認したり、寝室に飾ったカボチャの顔を突き回したり。
    「キミが楽しんでるところが見れてよかった」
    「おう! ん? おまえはちょっとションボリしていないか? そうか、そういえばおまえは、甘いものはあまり好きではなかったか」
    「どうしてキミがションボリするんだ? あのお菓子は充分おいしかったさ。でもな」
    「む」
     ソワソワ、ベッドの周りを歩き回るデグダスを呼び止めて、手招きする。
     おれはもう眠たくて、こうして横になってるとちょっとした油断で眠ってしまいそうだ。
     しかしキミは、やっぱりまだ眠る気はないらしく、ベッドの上にちょこんと腰掛けた。
     デグダスの体重でベッドマットがずしんと沈む。大きな身体に、ちょこん、なんて表現は合わないかもしれないが、でも確かにキミはそうしてベッドの端に腰掛けた。ソワソワしながら。
    「どうせならいたずらがしたかった」
    「わ! うひゃひゃひゃ! こら! やめなさい! ふと、太ももは意外と……わは!」
    「だってこんなたくましいお尻をこっちに向けて座られると……ふふ、あははっ。……でも、それにしてもだ。お菓子があんなにあると最初から知らされていたら、いたずらなんかできないじゃないか」
    「フーム、そういうことでおまえはションボリと……わはっはっは! こらこら、そんなにいたずらばっかりすると、お菓子をあげないぞ!」
    「何を言ってるんだ。もうお菓子なら沢山もらったぜ」
    「ハッ!?」
     モンスターが落とした大量のお菓子は、クルブルク中のあまねく人々にもれなく必要以上に配られまくった――ということを急に思い出したらしく、重大事件とばかりに口を両手で押さえて驚いた。
     その手からポロッと小さな袋が落ちる。
    「デグダス?」
    「そうか……おまえはお菓子なんか、もういらないか」
     キミはションボリして、そう言った。
     おれは慌てて起き上がって、座ってるキミの膝の上に寄りかかる。それから、シーツの上に落ちた袋を拾おうとしたら、先にキミがサッと取り上げてしまった。
    「どうしたんだ、それ」
    「こ、これはだな……いや、大したものではないんだ。今年はお菓子がいらないというのを知っていたのに、間違えてうっかり焼いてしまった、ハロウィンのクッキーだ。あんなにすごいたくさんのお菓子と比べると、ちょっとしたものではありますが、もしかしたらおまえが食べてくれたらうれしいな、と」
    「欲しい」
    「わ、わわわ!」
     デグダスの手の中にある袋を、膝から起き上がって手を伸ばして受け取ろうと、するとビックリされてお互いバランスを崩した。ベッドの上に倒れる。ポフン、とシーツが跳ねる。ベッドは柔らかい。二人の手でクッキーを掴んでいる。
    「ふっ、あはははっ!」
    「いいいいいのか?」
    「いが多すぎないか? あっはっはっはっは! キミがくれるなら、大歓迎だ! それも手作りだって?」
    「ウム! 毎年ちゃんと作っているんだぞ。味は保証しないが!」
    「今食べてもいいのかい?」
    「おう! いや、だめ! ベッドでおやつはいけない! 明日の朝だ、朝ごはんの後にしよう」
    「ん、わかった。ふふふ」
    「わかったらこちょこちょはもう禁止だぞ。お菓子をあげるから、いたずらはしないでくれ」
    「うーん。でもキミのお菓子をもらえるのは、明日の朝ごはんの後なんだろう? ということは、その時間まではおれはいたずらし放題じゃないのか?」
    「むむむ? そう言われるとそれは正しいかもしれない?」
    「だから今夜はキミにいたずらをする」
    「ヒョワッ。それはだめ! こちょこちょ以外!」
    「あはっ。それじゃ、何をしようかな」
    「お、お手柔らかにな」
     さあどうしよう。これで一日の疲れも眠気も吹っ飛んでしまった。クッキーの甘い匂いに包まれて、胸がワクワクする。


    (了)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works