Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🐟
    POIPOI 416

    masasi9991

    ☆quiet follow

    寝起きのデググラです

    ##デググラ

    冬の朝


    「朝だぞ、グランツ! ほら! ものすごく朝だ!」
    「うーん……寒い……」
     デグダスが布団の上からおれの身体を揺さぶってくる。今日はいつもより起こし方が激しい。大きな手に力がこもって、がっちりとおれの肩と腰を掴んでいる。ゆさゆさ、と身体が揺れる。その揺れも逆に気持ちよくて、もっと眠くなってくる。
     それに、とても寒いし。
     キミが起こしてくれるのは嬉しいけど、身体がどうしても起きようとしない。揺さぶられてちょっとはだけた布団の隙間から冷たい隙間風が入り込んで、身体が縮こまる。おれはベッドの上でさらに丸くなって、布団の中に潜り込んだ。
    「まだ起きないつもりだな?」
     キミを困らせるのは本意じゃないが……でも今朝のキミは、とても楽しそうだ。声もそうだし、おれを揺さぶって楽しんでるみたいだし、それに次にはベッドがズシンと大きく沈んだ。キミがそこに膝を乗せて、ベッドに上がったのがわかった。
     キミはいつでも優しいが、朝おれを起こすのに布団を引っ剥がすぐらいの厳しさももちろん、ある。少しぐらい寒い日でもキミはあまりためらわない。
     ところが今日はそうしないらしい。キミがおれを起こすのにそこまでしてくれるなんて、きっと何かワケがあるに違いない。
    「グランツ、早く起きるときっといいことがあるぞ」
     その鼻歌にもきっと楽しいワケがあるんだろうな。
     キミがそっと布団を持ち上げる。一瞬だけ眩しい。閉じたままのまぶたの向こうに朝の真っ白な光が映る。そしてそれもすぐに淡くなる。きっとキミの顔が朝日を遮ってくれている。眩しくて眠たい目はまだ開かないが、キミがおれの顔を覗き込んでいることはわかっている。
     まだ続いてるキミの鼻歌が、おれの頬をくすぐる……。すごく近くまでキミが来てる。今目を開けたら、キミの驚く顔が見れるかな? でもこのまま目を閉じてたら、もっと近くに来てくれそうだ。
    「ほんとうは起きているんだろう」
     耳のすぐ近くにキミの囁きが聞こえる。低くて優しい、楽しそうな声だ。どうしても、少し吹き出してしまう。あまり嬉しすぎると我慢できない。
    「あ! 今笑ったな!」
    「ふっ。ふふ……。ン、まだ……」
    「もう起きる時間だぞ。こちょこちょしてしまおうかな!」
    「ん、それはやめてくれ。ンフッ、ふ、弱いんだ」
    「まだこちょここちょしてないぞ?」
     キミが首を傾げてる。見えないけど、絶対にそうだ。しまったな……目が覚めてきた。この時間をもっと楽しみたいんだ。
    「いいことって」
    「ン?」
    「さっきキミが言ってた。何だ?」
    「ム……? あっそうだった! いいことがあるんだぞぉ。今日はとっても寒いけどな、だからこそのいいことだ! 楽しいことがある。ヒントはな……そう、天気だ! いや、これだけじゃ難しいか」
    「雪が積もったか?」
    「そうだ! えっ? どうしてこれだけでわかったんだ?!」
    「キミのことなら声を聞くだけでわかるのさ」
    「なんだって!? もしかしてグランツは手品師なのか!? むむ? しかしおれのことじゃなくて、天気の話だぞ?」
    「ふふっ。あは、不思議だな。あっはっはっはっは」
    「むむむむ? うーむ。しかしおれもひとつわかったぞ。おまえはどうやら狸寝入りをしている! ほら、こちょこちょだ!」
    「あっはっはっはっはっは♡ やめてくれ! 今起きる!」


    (了)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator