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    masasi9991

    @masasi9991

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    X6のOP前のゼロクス

    ##ゼロクス
    ##RMX

    晴天の廃墟


     通信にノイズが混ざり始めた。高強度の電磁放射障害が残っている地域だからなのだろう。それを裏付けるように、割れたアスファルトの上に残った無数の人とレプリロイドの遺体はほとんど全てが無傷のままで、ただカラカラに干からびている。
    「き……える? エッ……ス、……なし、周囲に……反応、なし。安……確保……した……から、すぐに戻……」
    「大丈夫だよ、エイリア。誰も居ない」
    「ええ、だ……今すぐ……」
     ブチン、と一際大きなノイズが鳴って、以降通信が完全に途絶えてしまった。
     少し戻って、また通信を繋ごうか。どの辺りまで調査するつもりなのか、ちゃんと計算して伝えておく。その方がエイリアにも、ベースで待っている皆んなにも、心配をかけずに済む。
     ほんの一瞬だけそんな風に悩んだが、やっぱり振り返るのは止めにした。今は一分一秒が惜しかった。
     周囲にエネルギー反応はない。十日も前にはこんな筈ではなかった商店街は、天井にかかったアーケードの屋根が全て吹き飛んでしまって、金属製の何本もの柱だけが数百メートルの向こう側まで規則正しく並んでいる。道の両側のビルの多くは崩壊。ここは、廃墟だ。もちろんここだけじゃない。
     コロニー落下に伴って地上を襲った衝撃波と電磁放射障害の残骸と、人と、レプリロイドの成れの果ての上を、重たい足で踏み均しながら歩いている。……。
     お墓、というものが必要だろうけど、残されたおれにはそんな余裕なんてない。
     扱い慣れない作業用のフットパーツは重い。少し前まで使っていた戦闘用のものよりも機能も装甲もシンプルだからとても軽い筈なのに、おれにとっては酷く重い。手に握った一般戦闘兵用のハンドガンも同じだ。護身用ぐらいの威力しかないそれを、握っている右手が、その重さで痺れる。
     おれ自身は正常だ。だけどあの日の戦闘で大破してしまったアーマーの代わりの、間に合わせの手足が重い。扱い慣れていないせいだ。
     こんなに重たい身体を引きずって歩き回っても、この先は、ずっと先までもエネルギー反応も何もない。だったらこの間に合わせ武器も手足も投げ捨てしまいたい。
     痺れる手に力を入れ、ハンドガンを握り直した。
     どれほど迷いが生じても、この手が緩むことなんてない。レーダーには映らない、どんな測定器でも測れない、それでも心に感じるものがあるんだとおれは知っている。この武器が必要になるかもしれない。たとえ僅かの可能性でも。
     見渡す限り真っ直ぐな道が続く廃墟の果てに、何も見えない。昼間の青い空と白く眩しい太陽の灼熱のエネルギーが、動きもせずただそこにあるだけだ。目に見えるのがそれだけだとしても、この先に君が居るかもしれない。探し出すまでは絶対に諦めない。


    (了)
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