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    masasi9991

    @masasi9991

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    masasi9991

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    なんかそういう割と平和な時代のゼロクス
    続くかも

    <性行為同意書アプリ>の続き(前日譚)みたいな感じ
    https://poipiku.com/955041/4131800.html

    ##RMX
    ##ゼロクス

    初めての同意書


    □1
     腕時計型のウェアラブル端末に、数日前に支給されたアプリを立ち上げた。白いバックグラウンドに飾り気もなく日付と時間が表示され、アプリタイトルが右下に小さく浮き上がる。少し待つと、青いライトで空中に入力欄が照射されるようになっている。この時間差が考え直させるために重要らしい。ということまでは把握している。だけどそれも待たずに端末の表示を落とした。
     ため息、あるいは深呼吸。ドアの前で暫く突っ立っていた。踏ん切りがつかない。
     もういちど端末を胸の前に持ち上げて、表示を開く。突然青白い光で空中にウィンドウが表示され、慌ててアプリを閉じた。
     ついさっき、アプリを終了させずに端末を閉じたことも忘れていた。なんだかいっぱいいっぱいだ。誰かに見られちゃいないだろうか、遅れて不安になってあたりを見回したが、ひとまずマンションの廊下には誰も居なかった。平日の昼間だし、そんな心配はいらないか。イレギュラーハンターの休日が不定期で、こんなときには逆に助かる。
     それにしてもこいつをどうすりゃいいんだろう。政府に戸籍登録している一定年齢以上の全レプリに支給されたこのアプリだ。支給されたその瞬間から、立ち上げたり閉じたり、を繰り返している。きっと支給されたほとんどのレプリが同じ行動を取っているに違いない。だから、さっき慌てた。誰でも持っているし、多くのレプリが一度は立ち上げてみているはず。だからあの青い空中照射のウィンドウも、誰だってひと目見て「それだ」と気付く。その可能性は高い。
     ゼロはどうなんだろう? 一度くらい立ち上げてみたのかな? 触ってすらいない可能性もあるか。こういうのには疎いし、法律が変わったという話題もあまり興味もなさそうだったし。少なくとも使ってはいないはずだ。俺もそう、だから。
     でも今日は使うことになるのかもしれない。これが支給されてから初めての君の部屋で過ごす休日だ。
     どうすりゃいいんだろう。アプリのマニュアルは読んだけど、もちろんそれまでの行動のマニュアルは読んでいない。アクセル曰くつまんなくて気まずいコントみたい、って。政府が作ったならそうなるのもよくわかる。多分俺とゼロじゃ同じシチュエーションにはならない。
     じゃあどんなシチュエーションになる? いつもは? と考えて頭を抱えた。まだドアの前。ゼロの部屋を訪れるのにこんなに緊張したのって、いつぶりだろう。こんなにぐるぐる考えてたら永遠にドアは開かない気がする。ゼロはきっとまだ寝ているだろうし。
     苦し紛れにまた端末のアプリを立ち上げた。この画面を見慣れたら、深く考えずに使えるかもしれない。
     日付と時計、白いバックグラウンドの右下に<性行為同意書作成アプリ>と至極真面目な角張ったフォントで表示されている。
     冷静に、冷静に、落ち着いて考えれば、これはレプリロイド間の性暴力を未然に防ぎ、もしも事件が起きたとしても被害者の人権を守るための法律で……当事者間の合意を正式な署名として記録を残すためのアプリで……だから、そのために今日から、これにゼロと署名しあわなければいけない。そういうことをする前に。改めてしっかりと向き合って、言葉をかわして。
     変な汗が出てきた。こんなものあったら余計に意識してしまう! なくったって、そりゃ、するだろうけどさ。
     このアプリでこんなに悩んでいるのは、俺だけなんだろうか。そりゃレプリは合理的な考えを持つ者の方が多いけど。アクセルはバカみたいって笑ってたっけ。あいつはまだ子供だからよく判ってはいないのだろう。
     とにかく、思考が停滞、ぐるぐる、だ。どうすればいい。考える。考え続けている。
     と、そのとき急にドアが開いた。
    「わっ」
     前触れもなく開いたドアに頭をぶつけそうになる。――うつむいて頭を抱えていたからだ。どうにか一歩下がって、避ける。顔を上げて目に入ったのは、手首の端末から既に照射された署名用のウィンドウ。
     それとゼロの金髪。顔。素体そのまま、ほぼ裸みたいな肉体。……公的良俗に反するほどじゃないけど、できれば上も、もう少しちゃんとしたものを着て欲しい。そのタンクトップみたいなのだけじゃなくて。
    「エックス。なんだもう来てたのか」
    「ゼロ。お、おはよう」
    「もう昼だぜ」
     なんて言うものの、アイ・カメラを覆う瞼を重たそうにパチパチと動かしているし、長い金髪だってボサボサで前髪と後ろ髪が混ざってる。その髪を鬱陶しそうに片手でかき揚げた。どう見たってゼロはさっき起きたばかりじゃないか。
     ということは、その寝ぼけ眼じゃさっきのは見られてはいなかったかもしれない。俺は咄嗟に逆の手で端末の上を覆って、照射されたウィンドウをかき消していた。指の隙間から青い光が漏れているけど、きっと大丈夫だ。
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