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    masasi9991

    @masasi9991

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    キスの日のデググラです

    ##デググラ

    『キス』の日


    「グランツ、今日はキスの日らしいぞ!」
     急に思いもよらないことを言われて、思わずそこに立ち止まった。隣を歩いていたキミの顔を見上げる。キミはそのままトコトコと先に歩いていってしまった。道の曲がり角まで行ってから、「あれ?」と首を傾げて立ち止まったキミを、おれは慌てて追いかけた。
    「どうしたんだ? 急に立ち止まったりして。残像かと思ったぞ」
    「ぷはっ。ふふ、だってキミが急にそんなことを言い出すからさ」
    「そうかそうか、やっぱりおまえも今日がキスの日だとは知らなかったんだな」
    「祝日とかではないしな。どうする、デグダス? 今日の晩飯は魚にするか」
    「魚?」
     また隣に並んで歩き出したデグダスは、顎に手を当てて首をひねる。あんまりひねる過ぎると前が見えなくなりそうで危ないな、と顎に当ててない方の手を握って、手をつないで歩くことにした。
    「ほら、海で釣れる鱚のことだ。違ったか?」
    「ああ! なるほどなるほど! キスと鱚……うぷぷっ。違うぞぉ、キスと言ったら、いつもおまえとしている……ムフフ。ムフフな方らしい! おれも今日知ったんだがな。それにしてもグランツがうっかりしているなんて珍しいな」
    「だってキミならそういううっかりをしてくれると期待していたんだ」
    「ムム。期待を裏切ってしまったのは、よくないな」
    「お詫びにキスをしてくれるのか?」
    「えっ! ここで!? ここではまずい、無理だ!」
    「家に帰ってからでも構わない」
    「うん、それなら大丈夫だ。魚屋に寄って帰らないとな!」
    「……ん?」
    「天ぷらかな? 煮付けもいいな! 元気なのが売っていたら刺身もいいな。グランツ、今から夜が楽しみだ!」
    「夜に?」
    「今晩はおれとおまえの二人きりだしな」
     鼻歌まじりのキミはとても上機嫌だ。つないだ手もぎゅっと強く握り返されて、ブンブン振って歩いている。だがこれは本当にお詫びのキスをしてもらえるんだろうか? お詫びの鱚じゃないよな? 今度はおれが首をひねった。


    【了】
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