ピコピコ 横で眺めてると実に面白い。金色の目玉に画面が発する青い光が映り込んでいる。こいつの虹彩の色は、遠目に見れば眩しい金色、近くで見ると複雑で混沌とした金色……いくつもの濃淡に別れた細胞が入り混じった色……濡れた目玉の表面が外の光を跳ね返す色。要するになんともアナログな肉体の色だ。そこに機械の色が映り込んでいる。
チカチカ光る画面に合わせて、まぶたも不機嫌にピコピコ動く。横から眺めててもよくわかる眉間のシワ。への字の口。顰めっ面だ。
「つまらん。こんなものが一体何んの役に立つ」
手に持った端末の画面が勝手に動くと言って、どんどん不機嫌になる。使い方がわからないって助けを求めたのは土蜘蛛さんの方じゃねえか、と思いはするがおれの方は不満はない。どうせこうなるとわかってたし。
それよりその目に機械の光が映り込んでいるのが、全く場違いで妙に面白い。顔近づけて、見れば見るほど。
【了】