嫉妬「何? 何何、ちょっとレッド!」
抗議の声を上げても全然返事もしない。無言で手掴んでボクを引っ張る。居住区の閑散とした廊下をズルズル引きずって連行。今がヒトの少ない時間帯だったからいいものの、ボクがこれ以上騒いだら児童誘拐として通報されちゃうんじゃないの。そしたらまたイレギュラー扱いに逆戻りだね。
「ねえってば」
多分プライベートルームに戻るまではいくら呼んでも振り返らないだろうなって気はしてるけど、無視もしきれないみたいでちょっとだけ反応がある。チラッと横目でボクの方見てるような。引きずられるままじゃわかんないから、その広い歩幅にどうにか追いつくために駆け足になる。
「レッド」
いつものコワイ顔。目が特にコワイ。沈んだような色をした隻眼は鋭い刃物みたいでカッコいい。その中心のレンズ部分がスッとボクの方へ動いて、高い位置から問い詰めるようにボクを見た。
「もしかしてヤキモチ?」
目は口ほどに物を言う、ってことで……。レッドは返事はしないけど、横目でボクを見下ろしていた目は泳ぎ気味に前を向く。ついでにボクを掴んでる手にも力が入る。ちょっと痛いぐらいだけど、別にいい。
「図星でしょ。へへ、ボクもイレギュラーハンターになったことだし、一般大衆の皆さんにはあのくらいのファンサービスは必要なんだよね」
目、泳いでるし、火が付いたみたいにメラメラしてる。せっかくコワーイ顔してんのに、割とすぐ台無しになっちゃうな。そういうレッド、ボクしか見たことないかもだけど。それに、それでもカッコいいしね。
「でもレッドがして欲しいって言うならレッドにだってサービスしてあげてもいいよ、特別にね! あいたっ」
気がついたらもうプライベートルームにたどり着いてた。で乱暴に開けられたドアの隙間から部屋の中に放り込まれる。こりゃ相当だ。