旅先の楽しみ透き通ったさざ波が足元の砂をさらっていく。
早朝の海水は冷たいが、火照った身体を冷やすにはちょうど良かった。
「黄瀬君みて! 綺麗な珊瑚です」
淡い色の欠片を拾ってこちらへ掲げる恋人の指が白くて目が眩んだ。
レモン色の水着に白いダボダボのパーカー。
真っ白な肌からは日焼け止めの匂いがする。
昨夜日本を飛び出して、朝ホノルルへ到着しタクシーでホテルへ向かっていたが、窓から見える海があまりにも綺麗で荷物を預けてすぐに海へ出てきたのだ。
日差しは強いが湿気が低く、カラッとした空気が二人の足取りを軽くする。
景色に見とれて、もうビーチの半分ほどを歩いてしまった。
「黒子っち、ちょっと休憩しよ」
眩しい砂浜から木陰へ移動して、鞄からミネラルウォーターを取り出した。
1925